復興期の精神

 午前中は再開した源兵衛川の月例清掃へ。主に外来種の草を除去。年配の知人は昨日東京での反原発集会に参加。大勢の人にビックリしたと。原発外来種のようなものだ。三島でも午後、反原発デモ。

 ブックオフ三島徳倉店で三冊。群ようこかもめ食堂幻冬舎2006年初版帯付、ジョー・ゴアス『ガラスの暗殺者』扶桑社ミステリー2011年初版、ポール・ラドニック『これいただくわ』白水Uブックス1995年2刷、計315円。『かもめ食堂』は友だちの依頼本。

 花田清輝『復興期の精神』講談社文庫1974年初版を読んだ。大部分が戦時中に執筆発表され、敗戦まもなくの1947(昭和22)年に出版された。欧米の小説家、芸術家、宗教家、科学者など、ダンテ、ダ・ヴィンチ、アラン・ポーら二十二人の傑出した人物を題材に、該博な知識に裏付けられた構想力を駆使し、天馬空を行く才気煥発な筆捌き、縦横無尽に発動されるレトリックに、こちらは一気に魂を抜かれ、魅せられる。ダイナミックな文章の膂力は、径庭を経た今も全く衰えていないどころか、さらに強靭に輝いている。参った。脱帽。名著だ。

 1947年の初版「跋」から。

《 戦争中、私は少々しゃれた仕事をしてみたいと思った。そこで卒直な良心派のなかにまじって、たくみにレトリックを使いながら、この一聨のエッセイを書いた。良心派は捕縛されたが、私は完全に無視された。いまとなっては、殉教者面ができないのが残念でならない。思うに、いささかたくみにレトリックを使いすぎたのである。 》

 何と不敵な。けれども、読めば頷く。

《 当時、ルネッサンスは、フランスにおいて王后のすがたとなり、カトリーヌ・ド・メディチは、国内の新教徒の殲滅を企て、命令一下、聖バルテミーの虐殺を敢行し、宗教改革は、ドイツにおいて、一揆の指導者のすがたとなり、トマス・ミュンツァーは、太陽とブントシューの刺繍された旗をひるがえしながら各地に転戦し、ヨーロッパは、あげて「宗論」の煮えたぎる坩堝と化していたのだが、ここにハイネが『ロマンツェーロー』のなかで喝破したように、「どちらの信仰が当を得ているかはしらないが、どちらもひどく悪臭を発する」と断じ、眉ひとつうごかさず、諸々の人間の情熱を「幾何学的秩序によって証明」しようとする奇怪きわまる意図をもった『倫理学』が発表されたのであり、人びとの唖然としたのもまた無理ではない。スピノザが、多少意識的に、その新しいスタイルによって読者を茫然自失させる効果を狙っていたであろうことに疑問の余地はない。 》 「ブリダンの驢馬」より

 文化人類学山口昌男花田清輝のレトリックを継いだと記す矢先に訃報。昭和初年代に生まれた書き手にはレトリック感覚に秀でた人が眼につく。亡くなった人を挙げれば、泡坂妻夫(1933年生)、加藤郁乎(1929年生)、久世光彦(1935年生)、種村季弘(1933年生)、寺山修司(1935年生)そして山口昌男(1931年生)。ついでに。きょう本を買ったジョー・ゴアスは1931年に生まれ、2011年に亡くなった。

 ネットの見聞。

《 TPP参加で日本が米国の州になるというのは、お人好して甘い日本人の気質をよく表している。米国人としての法的権利は何も与えられないのだから、正確に日本は植民地にされるのだ。これはTPPの様々な条項と、米韓FTAの現実から明白なのだ。これを否定する人間はおしゃぶりをくわえているのだ。 》 兵頭正俊

 ネットの拾いもの。

《 座間市座頭市に見えてしまう。 》