東京現代建築ほめ殺し

 19日にゆりかもめに乗車して見た東京湾岸のビル群が印象に残り、建築三酔人『東京現代建築ほめ殺し』新潮OH!文庫2001年初版を再読。元版は1997年刊行。この十五年の間に東京のビルは激変している。

《 紳士 丹下の建築を見ていて不安になるのは、建物がどうやって老いていくのかな?ということです。赤坂プリンスホテルは築十五年ぐらいだけど、五十年経ってもまるっきりこのままだったりするとちょっと怖い(笑)。 》 99頁

 築三十年で解体。諸行無常の響きあり。

《 先生 建築家を「作家」と呼ぶ慣例も面白いね。家作ってるから間違いないけど(笑)。 》 168頁

《 先生 でも、いつも思うのは、建築家のいっている言葉とできあがった建物との間には、すごい距離があるなあということね(笑)。いわれてみても、「どこが?」という突っ込みを入れたくなる。 》 246頁

 HOUSE VISION東京展でも感じたなあ。

《 紳士 みんなビルを高層化していくけれども、それでも路地とか、身体感覚に合った空間にどうも人が集まるらしい、といことも見えてきたと思うんですよ。 》 301頁

 東京湾岸のビル群を見て、住みたくないなあと思った。そこには路地がない。

 そういえば木造モルタル塗りの住宅が少なくなった、と自転車で走っていて気づいた。錆びたトタン板壁と違って、古ぼけた壁面は情けないほど侘びしい。

《 モルタル塗りは、サイディングが登場するまで、我が国の木造住宅の外壁の主流でした。モルタル(mortar)は、砂(細骨材)とセメントと水とを練り混ぜて作る建築材料。 》 びお

《 骨組みが木組みで、外壁の表面をモルタル(セメントに砂を混ぜたもの)を塗りつけた構造を「木造モルタル」と呼びます。「木造モルタル」と区別して、単に「木造」と呼ぶときは、骨組みが木組みで、外壁の表面を木板またはプラスチック材などで仕上げた構造を指します。 》 同

《 施工後に亀裂が入りやすいという欠点があるため、今では、大手ハウスメーカーが標準工法としてモルタル壁を採用することは極めて少なくなっています。 》 同

《 見た目の劣化は、塗装そのほか、気象条件等その地域の事情によりますが、7〜15年で劣化してきます。性能上は外装材として機能しますが、見た目の劣化が自然素材と違って年月を経て風合いを増した状態にならない素材です。 》 同

 木造モルタル塗りの家。昭和の住宅の象徴。諸行無常の響きあり。石川セリ八月の濡れた砂』1972年をシングルレコード盤で聴く。

《 ♪ 想い出さえも 残しはしない〜 ♪ 》

 ネットの見聞。

《 財形貯金を始めたのは昭和62年。いまはなき「協和銀行」である。
  まだ給料の安い時代は毎月1万円ずつ貯めていたのだけれど、多少余裕が出てきたところでそれを毎月2万円に切り換えた。それがいまはなき「あさひ銀行」の頃である。
  で、今日手続きに行ったのは「りそな銀行」だ。
  いやはや。 》

 諸行無常の響きあり。