ぼくは散歩と雑学がすき・つづき

 植草甚一『ぼくは散歩と雑学がすき』、「11 ワイセツ語だらけのノーマン・メイラーの新作『なぜぼくらはベトナムへ行くのか』の話といっしょにアメリカの青年と先輩とがやった『対話』をサカナにして」(『話の特集』昭和四三年二月号)

《 このような変化は、きみたちの父親や祖父が、まったく予期しないものだった。テクノロジーの現社会にあって、彼らは無教育者となってしまった。だから最早なにも教える資格はないのだけれど、そういった技術の面を超越して、ただひとつ教えてあげられることがある。それは人間的叡智のことだ。 》

《 これにたいし、イェール大学で校友会雑誌を編集しているリタ・ダーショウイッツというインテリ女性は、つぎのように答えている。 》

《 人間的叡智がどうのこうのといわれますが、わたくしの生活、あるいは生活の条件として、それはまったく無関係なものなんです。わたくしたちより、ずっと偉大な経験をした、だからそれが人間的叡智となって、心のなかを豊かにするというのは、なんだか気まぐれな主張のように思われますわ。なぜなら、わたくしの人生体験は、両親のそれとは質的に違うものだし、いままでのどんな体験のしかたとも違ったものだと断言していいんですから。 》

《 それなのに政治家たちは、昔のころ、ちがった戦争があったころに使った言葉を、そのまま使っているだけなので、世代間のギャップは、ますます深まるばかりだといわなければなりません。/ともかく古い価値は、いま若くあることで偉大な昂奮をあじわっている者に、まったく無価値なものになりました。》

《 ぼくはウォルター・リップマンというアメリカでの価値ある頭脳より、この若い女性のほうが、ずっといい頭脳をしていると思わないではいられない。 》

 最近耳にする話のようだけど、1968年の発表。

《 もう一つの記事は、プリレイボーイ誌十一月号に出たミケランジェロ・アントニオーニとの対談だった。(略)いずれにしろ「欲望」をめぐって、つぎのようなことをアントニオーニは語ったのである。 》

《 質問『スクリーンで見せてはいけないものがあるんではないでしょうか』

  答『自分自身の良心以上にいい検閲はありません』 》

 しびれる答えだ。

 ネットの見聞。

《 TPP。日経朝刊「米国が自動車関税の撤廃を先送りしても、日本自動車業界にはそれほど大きな影響を与えない。乗用車の関税率はすでに低く、トラックは日本メーカーの米国内での現地生産が進んでいるからだ」。つまり恩恵がないってことか。じゃあ、なおのことTPPなんかいらねえじゃん。 》 藤岡真

《 「スポーツを通して人格の形成」とかいうが「数学」とか「国語」じゃ駄目なんかな。 》 藤岡真