ブックオフ長泉店で二冊。似鳥鶏『さよならの次にくる〈卒業式編〉』創元推理文庫2011年3刷、エラリー・クイーン『ローマ帽子の秘密』角川文庫2012年初版帯付、計210円。
ブックオフ三島徳倉店で三冊。芦辺拓『紅楼夢の殺人』文藝春秋2004年初版帯付、赤城毅『書物迷宮』講談社文庫2011年初版、イサク・ディーネセン『バベットの晩餐会』ちくま文庫1992年初版、計315円。
照屋眞理子さんから新歌集『恋』角川書店2013年4月25日初版を恵まれる。珍しく厚い紙質のカバー(ジャケット)。思わず撫ぜてしまう布装表紙。上品なピンクの花布(はなぎれ)と栞紐。本文を読む前に感触を愉しんでしまう。装幀 間村俊一。やはりね。
《 追憶の彼方の恋や夕暮の空へ振るため人は手を持つ
立ち籠めて縹(はなだ)の夕べわれはただうつくしい短歌(うた)に逢いたし
ああ春は光の匂ひせつなくてうつとりと溶けてしまほう
白鳥座南中の頃はるばるとわが漕ぎ出だす億年の櫂
こともなく一日暮れつつほのぼのと空へ伸びゆく忘却曲線 》
才気煥発の趣が潜んで、ゆるやかな詠唱へと変貌した。かといって、裏打ちされたしなやかな知的弾力は変わらず。日常からふっと燕返しに空へ飛翔してゆく。見事だ。
《 われとわがはぐるる夢の淵深み今朝他人事(ひとごと)のごとく目は覚む 》
連想が外へ向う。「他人事のごとく目は覚む」には中井英夫の小説『他人の夢』深夜叢書社1985年。その一節。
《 いつと知らずに明るんでいたというような暁方ではない。一条の鋭い光にみちびかれた夜明けなのだ。何もかも、ずっと昔の、地球の初まりのときから、二人がこうしてお互いの瞳の中を覗きこみ、すべてを判り合う刻がくることは、もう定められていたのだ。 》 「他人の夢」
《 見てをりしがいつしかなべて透きとほりただ青空にわが見られをり 》
「ただ青空にわが見られをり」は、瀧口修造『余白に書く』みすず書房収録「クレー巡礼」の一節に。
《 と書いて「私はここでクレーを見た。クレーが私を見ている」と日本語を書き添えると、フェリックス氏は隣室の夫人にそれを披露して「まるで詩のようではないか」とすっかりご満悦である。 》
《 ノヤと読むとき少しさびしき蓬の字その草冠(さうかう)ゆ北国の風 》
は、松平修文歌集『蓬(ノヤ)』砂子屋書房2007年へ。それから一首。
《 暗き海のかなたへ去りてゆく翼 置き去りにされし者は見送る 》
蓬(ノヤ)を詠みこんだ相応しい短歌があったが、漢字変換できないので見送り。
ネットの拾いもの。
《 美しい心は一日では生まれないが一瞬で消えるんだよ。 》
《 まあ、かつて「マドンナ議員」という恐ろしいおばさんたちがいましたが。 》
《 酒の肴に「死霊のこのわた」だけはヤだ。 》