両手いっぱいの言葉

 テレビはお昼と夕方のニュースしか視聴しないんだけど、NHKテレビ、昼の静岡ローカルニュースで、下田市在住のジャズピアニスト菅野邦彦が、新たに開発したピアノを演奏していた。なんと白鍵と黒鍵を一緒に一列に並べている。鍵の幅は少し狭められている。「一列にしたほうがもっと自由に演奏できるのでは?」と考えて考案したと言う。いやあ驚いた、まだ元気なんだ。ずいぶん前、沼津市ライヴハウスで聴いたグルーヴィな演奏が忘れられない。あの時は南伊豆から車を飛ばして来たと言っていた。

 公式サイトがあった。静岡新聞の記事。クロマティックピアノ(未来鍵盤)と言うんだ。

 寺山修司『両手いっぱいの言葉  413のアフォリズム文化出版局1982年初版を再読。抱きしめたくなる言葉の玉手箱だ。「愛 AI」の章から。

《 自分たちにしか通じない言葉をもつのが恋人同士である。 》

《 ことばには重さはないけど、
  愛には重さがあるのです。 》

《 蝙蝠傘は、世界で一ばん小さな、二人のための屋根である。 》

 「美 BI」の章から。

《 美というものはしばしば社会生活の上で障害になる。美はあくまで個人的なものであり、人は美だけでは生きられないからである。 》

 「現実 GENJITSU」の章から。

《 金なしでは生きられない、金だけでも生きるに不足だ。 》

 「飛翔 HISHO」の章から。

《 同じ鳥でも飛ばないとりはなあんだ?
  それはひとり という鳥だ 》

 「言葉 KOTOBA」の章から。

《 一字に影があるように、一行にも影がある。》

 「男 OTOKO」の章から。

《 男が人生の始めに経験するのは「よくない思い出」ばかりだ 》

《 女とちがって、男は「愛していなくとも、嫉妬する」ということがある。 》

 先だってちくま文庫から『決定版 感じない男』が出た、森岡正博『感じない男』ちくま新書2005年2刷を読む。感想は明日。

 ネットの見聞。

《 IOCが定めるオリンピック招致活動規則の第14条では、立候補都市や その責任者が競合都市に対するネガティブ・キャンペーンを行ったり 優劣の比較を含めて競合都市のイメージを損なう発言を行うことが 固く禁じられています。
 今回の猪瀬知事によるイスタンブール“攻撃”が 活動規則に違反する可能性は非常に高く、ニューヨーク・タイムズの記事でも 「今後この発言がIOCで問題となり、東京の招致活動に重大なマイナス材料と なるのは避けられないのではないか」と論評しています。  》

《 とくに問題なのは「トルコの人が長生きしたければ、日本文化のような文化を創造すべきだ」( they should create a culture like what we have in Japan)と語った部分。トルコの文化を見下したことは間違いありません。 》 内田樹

《 都知事はこの言葉がいずれトルコの人たちにも読まれる可能性に配慮していななかったようです。他国において自分の発言がどう解釈され、どういうリアクションをもたらすか想像する習慣がない。これは前の都知事にも、今の総理大臣にも共通する知性の不調の様態のように思われます。 》 内田樹

《 ♪(東京が) 飛んでイスタンブール〜♪  》