無罪/免罪

 きょう、味戸ケイコさんは北海道立旭川美術館で講演(トーク)。いかんせん、旭川は遠い。旭川の知人からはお誘いが来ているけど。で、きのうに続き、牧村慶子展のお手伝いで伊豆高原へ。会場から徒歩数分のところに知る人ぞ知るヒポクラティック・サナトリウムがある。駐車場には関東は当たり前、「なにわ」「山形」といった遠くの車。雨の中、そこに滞在されているご婦人たちも来られる。絵をご覧になって、お茶と談笑。

 毎日新聞8日朝刊のコラム「水説:ある元頭取の証言=倉重篤郎」がネットに公開された。

《 いわく。日銀は白川(方明(まさあき)総裁)時代から量的にみると米国に匹敵するような金融緩和をしていた。にもかかわらず、日本でうまくいかなかったのは、日銀がふんだんに供給したカネが、銀行から末端経済活動への貸し出しにつながらなかったからである。 》

《 いずれにせよそれ以来、銀行はリスクを取らない組織となり、いまだに金融仲介機能を回復させていない。従って、アベノミクスで日銀からのカネを倍増させても効果は疑問であり、何よりも金融システムの再構築が重要である。その重責は、これからの日本全国のバランスの取れた景気回復のためにも、地域の良質な経営者を抱える有力地銀が担うべきだ。これが、日銀国際局長から日債銀頭取に就任し、逮捕後13年に及ぶ裁判の末無罪を勝ち取った(両行の被告他5人も無罪確定)東郷氏の見立てである。 》

 ネットの見聞。

《  今日は教養の大教室授業で、日本の優生学=優生保護法のとこまで話をした。そして731部隊のことはちらっとしか言えなかった。いつも時間切れでそうなってしまうが、いつかきちんと時間とって731をやらないといけないな。いまの若い人ぜんぜん知らないから。 》 森岡正博

 下谷二助(しもたに・にすけ)『ネズミ事師の仕事と生活』情報センター出版局1983年初版、「第三章 怪伝・ネズミ事師 五」に顛末が記されている。

《 第七三一部隊には、約四千五百個に及ぶこうしたペスト・ノミの飼育器があり、二ヵ月に数十キログラムのペスト・ノミを”製造”することができた。千匹や一万匹ではない。数十キログラムのノミを仮定すると、その数は専門家の計算によると数千万匹という。 》

 そのためには厖大なネズミ(三百万匹)が要る。

《 そんなこととはつゆ知らず、戦時下の三条も大阪も、ネズミ捕り器の生産に追われていたのだが、なんのことはない当時の満州はこんなふうなことで、軍需も民需もひっくるめてネズミ捕り器の一大市場と化していたのである。 》

《 当時、米軍はこの七三一部隊の犯罪行為を極東軍事裁判の場で厳しく断罪するはずであった。しかし一方で非常に高水準の細菌兵器のノウハウの独占入手も企てていた。 》

《 やがて石井四郎と米軍の間に取引の密約が成立し、いっさいの研究資料を提出することを交換条件に、七三一部隊の犯罪行為の免罪を勝ちえたのである。 》

《 神代辰巳監督、原田美枝子主演『地獄』(1979) #見逃したがいまさら観るには勇気のいる映画 山崎ハコの主題歌がすごいですよ。 》 森岡正博

 山崎ハコのシングル盤『心だけ愛して』、発売された時に買った。歌詞が心底に響いた。

《  二人生きる道が唯一つだけあるわ 心だけ愛して 心だけ愛して あなたにそれができますか? 》

 1979年に発売された山崎ハコのシングル盤『流れ酔い唄』も凄い。

《 うちの目にうつるは あんたの嘘だけ

  うまいこと言うて心は 別のことを思いよる 》