豆腐の如く

 雨が上がったので、自転車でブックオフ沼津南店まで一っ走り。久世光彦『冬の女たち』新潮社2002年初版帯付、内澤旬子『センセイの書斎』河出文庫2011年初版、鯨東一郎『哲学探偵』光文社文庫2011年初版、高橋英夫『偉大なる暗闇』講談社文芸文庫1993年初版、山田正紀『ふしぎの国の犯罪者たち』文春文庫1983年初版、計525円。

 午後四時過ぎ、源兵衛川の親子ゴミ拾い兼生き物探しに同行。川へ入ったことがない人が大部分で、えらく喜んでいた。

 斎藤茂太『豆腐の如く  融通無我のすすめ』ちくま文庫1998年初版を読了。

 そのときの気分で読む本を選ぶ。『豆腐の如く』は、軽い本を読みたいな、と古本タワーへ目をやった時、一番上にあって目に留まったから。が、読んでいる途中で気付いた。これは昨日の『狼煙を身よ』からの無意識への指図ではないか。『狼煙を見よ』の「プロローグ」にこんなことが書かれている。一九八四年のこと。

《 ほかの著作ならともかく、『豆腐屋の四季』が獄中の政治犯達に愛読されているというなりゆきが、私にはひどく意外であった。この作品を発表したのはまさに「全共闘の時代」のさなかであり、そのとき叛逆のバリケードを築いていた怒れる若者達からは一顧だにされなかったという屈折した思いが、作者にはある。 》

 『豆腐屋の四季』は一九六九年四月に講談社から公刊されている。

《 絶版になって久しかった『豆腐屋の四季』が文庫版として復刊されたのは、一九八三年六月である。この文庫版によって大道寺将司は『豆腐屋の四季』を読むことが可能になったのだが、この全共闘世代の中でも最も突出して爆弾闘争にまで走った彼が、なぜこの臆病で小さく閉じこもって生きた者の記録に心惹かれるのか、私にはまったく不思議だった。 》

 未読の『豆腐屋の四季』は『豆腐の如く』に通じるものがあるはずだ。”狼”部隊は『豆腐の如く』で下記のように描写された人たちだ、という感想をもった。

《 今は押されていても、最後に勝てばいい。そんな”長い目”が、ゆとりを生むのだ。逆に言えば、ゆとりを失わせるのは、”いま”しか目に入らない視野の狭さである。 》 74-75頁

《 一方、自分の考え方や意見だけを”一所懸命”に守っていると、この世で一番正しいものは自分の眼差しであると信じ出す危険性がある。ほかの場所からは、それがどう見えるか、他の人はどんなふうに見、考えているかということに無頓着になる。 》 133頁

 『豆腐の如く』は普通の随筆ではなく、人生論〜生き方の本だった。「バカ正直は人間関係を損なう」の項。

《 夫婦のあいだでは、相手の親、きょうだいの悪口は絶対にタブー。親の悪口など、真実であればあるほどダメージが大きい。 》

《 欠点や短所を正直に指摘するより、ウソでもいいかからホメなさいと、私はことあるごとにお母さん方に言ってきた。 》

《 他人より、親しい者に対して、私たちの目は厳しくなりやすい。 》

 この三点、痛いほどよくわかる。

 ネットの拾いもの。

《 痛いの、痛いの、屯田兵! 》