静謐の深い調べ

 一昨日、沼津市の牛山精肉店から電話。画家の坂部隆芳氏が来店。牛山氏所蔵の店に展示する静物画に寄せた私の短文を気に入り、コピーを持っていったと。これは嬉しい。その短文はこれ。

《   「静謐の深い調べ」

   坂部隆芳氏の絵画は、人物・静物
   風景を問わず、ひそやかな静けさに
   満ちている。

   この静物画では、画家の甚深な思
   慮のもと綿密に配置されたモノと、
   絵肌の精妙な諧調が緊密に照応し、
   深く美しい響きを生み出している。

   響き。その静謐の深い調べは、
   観る人の心奥をさざなみのように
   ふるわせる。                》

 牛山さんからは、女性像の絵にも短文を、請われる。頼まれればいやとは言えない。さっと読める短くて易しい文をこの三日間、夢の中でも考えた。ひらがなの多い文になった。いずれ公開の予定。

 毎日新聞昨夕刊、加治屋健司「進む戦後日本美術研究  MoMAが英訳批評選集」。

《 これまで戦後日本美術の言説の動向を通史的に学べる英語の書籍はほとんどなかった。 》

《 実際、戦後日本美術に関する博士論文も学会発表も、すでに北米のほうが数が多くなっている。日本の研究環境を整備しない限り、北米が戦後日本美術の研究を牽引する時代が早晩到来すると考えるのは筆者だけではないだろう。 》

 今更の感がする。戦前、明治後期〜大正〜昭和前期の伝統木版画の研究を見れば、海外がいかに先行しているかよくわかる。当時の木版画絵師を調べるのに、北米の出版物に当たっていた。海外ではここまで調べてあるのか、と感嘆、嘆息。

 ネットの拾いもの。

《 長年の積読本を読むことを、積みほろぼしといってはどうかと考える。 》

《 アベマゲドン 》