九日の毎日新聞夕刊、「読書日記」は作家・朝吹真理子。採りあげられた本は、川村二郎・編『泉鏡花短編集』岩波文庫。
《 私はとりわけ鏡花の描く昼が好きで「若菜のうち」(「鏡花短編集」)という数頁(ページ)きりの小さな作品を繰り返し読んでいる。 》
この短編集には九編が収録されている。収録の「薬草取」は、私の愛着短篇ベスト3に入る珠玉の作品。何度目かの再読、あらためて感嘆。若い女性の一声、「ああ、お可懐(なつかし)い。」に、やはり涙。十代後半に読んで以来、幾度読んでも、この場面には感涙。
つぎはここによく書いている川端康成の「片腕」。説明は不要だろう。最初の一行で魅せられた。これは初読がいつだったか記憶にない。二十代前半だろう。
そして稲垣足穂の「或る小路の話」。十代後半に初読。こんな小説家がいたのか! と驚嘆。ぞっこん。絶品の三篇、順位はつけられない愛着度。短篇の三種の神器みたいなものか。ちがうかな。
この三篇について論じると、一日では到底終らない予感。よって簡略に。どれも男女の不思議な関わりが描かれている……そんなことを書いていたら夜が明けるぞ。三篇ともこの前話題にした松岡正剛言うところのフラジャイルの好例なのだ。トワイライトゾーンど真ん中。……やはり今はこれ以上書くのは無理なんだい。論旨ヘロヘロ。愛着なのだ、距離を保てない。
ブックオフ長泉店で三冊。奥田英朗『オリンピックの身代金』角川書店2008年初版帯付、日本推理作家協会・編『ミステリー傑作選 曲げられた真相』講談社文庫2009年初版、同『ミステリー傑作選 Bluff 騙し合いの夜』講談社文庫2012年初版、計315円。ミステリー傑作選、『騙し合いの夜』が六十冊目。六十冊揃った。
ネットの見聞。
《 電力4社は7月8日、原発の再稼働を申請する。その直前、経済産業省幹部が「柏崎は、やはり反発がきましたね。根回し、ウラでどの程度、されたのでしょうか?」などというメールを東京電力幹部に送っていたことがわかった。 》 驚愕! 東電幹部 原発再稼働へ向けて猛暑を念じ、経産省幹部へメール
ネットの拾いもの。
《 三種の仁義 》