マルチメディア美術館

 昨夜びくっと地震。それだけの揺れだったから近いな、と感じた。パソコンは停止中、今朝確認。震源富士五湖。夜半から雨。朝には止んだが梅雨が戻ったよう。午後には、真夏日。日が傾いてブックオフ長泉店へ。木田元『反哲学入門』新潮文庫2012年6刷、柳広司『ザビエルの首』講談社文庫2008年初版、計210円。

 西岡文彦『マルチメディア美術館』NTT出版1995年初版を読んだ。副題が「ハイビジョンCGが探る名画の秘密」とあるように、コンピュータ・ソフトを駆使して、『モナ・リザ』をはじめとする西洋名画がなぜ名画なのかを、探った本。具体的には、《 貼り絵のような気軽さで、精緻きわまりない絵画や写真を合成したり、粘土細工のような柔軟さで画像の変形や変換 》したり、《 名画の画面を他の画家のタッチで描き換えたり 》と試みた。

 『モナ・リザ』の頭部をラファエロ『貴婦人の肖像』『マッダレーナ・ドーニの肖像』というほぼ同じ構図の女性の頭部と入れ替えてみる。頭はラファエロ、首から下はダ・ヴィンチ。これは合わない。『モナ・リザ』の名作たる所以が一目瞭然。

 絵を判断するとき、私は並べてみれば、と助言する。一点一点別々に観ると違いがわからないが、並べてみると特徴も善し悪しもすんなり見えてくる。この本ではそれが大掛かりに展開されている。面白くてよくわかる。

 裸、英語ではヌードとネイキッドという二つの表現がある。この語感の区別を西岡文彦は簡明に指摘している。

《 「生まれたままの姿」といえば、裸体の遠回しな表現だが、ヌードにはこの生まれたままの無垢の裸体の美しさを描いたものと、人為的に「脱がされた」裸体の煽情的な魅力を描いたものとがある。 》

 その具体例として、ゴヤの『着衣のマハ』と『裸体のマハ』の頭部を取り換えてみた。『着衣のマハ』に『裸体のマハ』の頭部を据えると、じつに官能的な着衣のマハになる。いやあ、面白い。

 『モナ・リザ』の細かいひび割れの効果の検証。

《 レオナルドの意図したものではないにせよ、この無数のひび割れが、画面に独特の味わいと風格を加えていることは事実である。 》

 ひび割れのないラファエロの『貴婦人の肖像』に『モナ・リザ』の細かいひび割れだけを重ねてみると。

《 見ての通り、ひび割れが見事に「名画効果」を発揮して、描写の深みのなさをカモフラージュ。原画には見られなかった品格をかもしだしている。 》

 経年変化のひび割れ効果、焼きものにはよく見られるものだ。使い込むことによって、古くさくなるのではなく、古びのよさが出る、とか。

 ネットの見聞。

《 ミクロの世界の測定に関する「ハイゼンベルク不確定性原理」が成立しない場合があるとした小沢正直名古屋大教授の理論の正しさを、光を使った実験で確認したと、東北大と名大のチームが17日、英科学誌電子版に発表した。 》 東京新聞

 すごいことらしいけど、門外漢には……。

《  中山成彬氏(日本維新の会代議士会長)はアジアやアフリカの欧米からの独立は戦前日本が戦ったお陰だと日本を誇らしげに述べる。だが、残念な事に当の国々はそうは思っていない。その証拠に東南アジアの国々の独立宣言にはアメリカ独立宣言や人権宣言が引用されるが日本が掲げた理念は顧みられない。 》  住友陽文

《 自民党ともあろうものが、再稼働と言いながら、核燃料廃棄物の処理ついて対策を持っていないなんていうことがあろうはずがない。きっと名案を持っているに違いない。もうそろそろ、国民にそのアイデアを開示して頂きたい! 》

《  「エロ漫画を描く人間は実際の性犯罪者!」という規制派の理屈を使うと、さいとうたかを先生はテロリストで、水木しげる先生は妖怪で、やなせたかし先生は小麦粉ということになってしまう。 》 山崎義武

 ネットの拾いもの。

《 ブルガリアを拠点に活躍するアーティスト”Aneta Ivanova”

  美しい女性と、都市・空・森・建築などをブレンド、とにかく美しい写真表現です。

  驚くべきはまだ21歳と若い彼女。そしてアーティス自身も大変美しく、この作品の様に繊細で優美で儚い印象です。 》

 カメラ買うかなあ。