コメット・イケヤ

 終戦記念日。暑い。きょうから三日間、三島の夏祭り。我が家の前は朝から露天商が軒を連ねる例年通りの光景。山車の三島囃子は朝からチャンチキチャンチキ、油蝉も黙るにぎやかさ。いくつもの山車が列をなして通ってゆく。血が騒ぐ。今年は輪をかけて暑いぜえぜえ。夕暮だあ浮かれるぜえ。

 昨日話題の佐々木昭一郎関連で、佐々木昭一郎演出による寺山修司のラジオドラマ『コメット・イケヤ』1966年NHK放送の、一時間弱のCDを聴く。日刊スポーツ出版社から1993年にCDブックの体裁で『寺山修司のラジオドラマCD選集』として三冊刊行され、『2 コメット・イケヤ』と『3 恐山』を近所の本屋で購入。外函の紹介文から。

《 彗星を実際に発見した池谷薫と、その同時期に突然蒸発したサラリーマン長谷川正との姿をオーバーラップさせながら、ドキュメンタリーと「音の空間」とのコラージュに挑戦した代表的作品。
  2度目のイタリア賞グランプリを獲得し、6カ国語に翻訳され、各国で放送された。 》

 久しぶりに聴いたけど、じつに生々しい声音だ。声だけなのに、舞台劇を見るように、人物の配置、表情までが見えてくるよう。

 佐々木昭一郎はCDに書いている。

《 「コメット・イケヤ」を創ったのは1966年の夏であった。寺山と私はその時、30才であった。 》

《 彗星は永い軌跡をたどって必らず私たちの前に戻って来る。「コメット・イケヤ」を再び見られるのは今から百年も経ってからなのだが、この作品は、百年も生きつづけるにちがいない。寺山が私たちに残した全作品と共に! 》

 失踪は今も使われているが、蒸発という言葉はいつの間にか蒸発してしまった。残っているのは夏樹静子のミステリ『蒸発 ある愛の終わり』1972年初刊くらいか。

 ハイカルチャー=伝統文化、サブカルチャー=新興文化という漢字用語、しっくりくるなあ。しかし、新興文化がいつしか文化振興に変質してしまう日本。

《 コミケ、来場者数は、一日目21万人、二日目21万人、三日目17万人の合計59万人となり、過去最高となります。 》

 ネットの見聞。

《 28年前のお盆に郷里の近くで起きたJAL123便墜落事故。原因不明の爆発、全油圧喪失、制御不能、迷走状態、放射性物質搭載、米国からの輸入の歴史、安全神話(フェールセーフ)崩壊…多くの点で福島原発事故の雛形をはらんでいるように感じられる。 》 椹木 野衣

《 津波原発電源喪失して、メルトダウンが起きた・・・という映画を企画した人はたぶんいたはずです。でも、誰もそんな映画に金を出さなかった。事故をどう防ぐか、起きたらどう制御するかについて考えることを組織的に忌避してきた。だから、事故が起きた。僕はそう思います。 》 内田樹

《 少なからぬアメリカの作家たちは自国が戦争に負けてドイツと日本がアメリカを占領したときに「どんな世界が到来するか」について奔放な空想をめぐらせましたが、日本がアメリカを占領したときにどういう政体を作り、どう支配したのかを想像した日本の作家を僕は一人も知りません。 》 内田樹

《 式典は正午前に開始。式辞で安倍首相は、2007年に自身も使った「アジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与え、深い反省と哀悼の意を表する」という表現を用いなかった。近年の首相が使っていた「不戦の誓い」にも触れなかった。 》

《 二度と戦争が起きないよう知恵を絞ってゆきましょう。 》 鯨統一郎