高天原の犯罪

 ネットで『高天原の犯罪』が話題になっていたので、内容をすっかり忘れていた天城一推理小説高天原の犯罪』(『天城一の密室犯罪学教程』日本評論社収録)を再読。

 編者解題で日下三蔵は書いている。

《 しかし、チェスタトン泡坂妻夫の間に山田風太郎天城一を置いてみると、怪論理を自在に弄ぶ〈純粋本格ミステリ作家〉の系譜が浮かび上がってくるように思う。 》

 ネットの見聞。

《 タワーマンションの構造と値付けは、人間の〈見栄〉に基づく心理的ヒエラルキーを発生させる装置となるのである。こうした〈ヒエラルキー発生装置〉は他にもたくさんある。たとえばファースト・ビジネス・エコノミーと分けられた飛行機は、同じ地域に向かって空を飛んでいるだけなのに格差を感じてしまう。 》

《 こうした「装置《は、サービスを提供する側には価値の多様化によって利益を追求する機会を生み出す。一方の利用者の側では、望むと望まざるとにかかわらず、収入格差というヒエラルキーに基づく社会の縮図が展開されている。 》 坂井直樹

 『高天原の犯罪』、事件の遠因はヒエラルキーだ。そしてヒエラルキーの呪縛から解放されぬゆえに起きた事件。

《 サイン会の行列の最後に早稲田の古本屋さんが〈百瀬博教さんの遺品整理を承り、最後に百瀬さんの集めたビートたけしグッズを預かっていました。これをお渡ししたい〉と段ボールを渡される。それを開いた時の瞬間の恍惚。意志すれば全ての行為に「物語が紡がれていく過程《がある。 》 水道橋博士

《 数年前の、〈仕事〉という言葉では済まないある本の整理で手元に来て、なんの根拠も無く〈いつか直接水道橋博士にお渡ししよう〉と思っていたモノを今日直接手渡すことができた。企画した南陀楼さんも知らなかった偶然。区切りをつけられて、いまだ上思議な気持ちの中。 》 向井透史古書現世・わめぞ代表

 ネットの拾いもの。

《 百万ドルの夜警はちょっと高いな。 》