『文学のプロポ』

 お昼から夕方まで、栃木県と北九州市からのグラウンドワーク三島の事業地視察をこなす。視察場所は主に源兵衛川。

 中公クラシック『アラン』中央公論社2002年初版収録「文学のプロポ」を読んだ。先月30日に書いたように、もう一つの収録「芸術論集」は放擲したけれど、この方は杉本秀太郎の訳。明快で軽快。プロポとは「便箋二枚に書けるだけの短文」といった意味。

《 ところで、こういう書き方ではぜったいに詩にはならない。なぜか。思想のほうが先を歩いているからだ。何かを説明しよう。証明しようという気持が働いているからだ。詩人は、あらかじめ思想を用意しておくことはしない。 》 「三 表現の幸福」

《 詩はまず声に出して読め、まずは詩にしたがえ、と私がいうのもそのためだ。こうすることではじめて、思想が、もっとも深い内部の感情とのあの合致によって、論理的な思想とはまたちがったきらめき、ちがったちからを帯びるようになる。 》 「三 表現の幸福」

《 ほんとうの言語というものは、われわれのからだに響くものであって、精神に響くわけではない。いうならば、間接的に精神に響くのだ。 》 「四 言語の復活」

 ネットのうなずき。

《 世間でいい人と言われる人は、いい人と言われるためにエネルギーの全てを使っている場合が多く、身近にいる人はじつはそのしわ寄せにたいへん苦労している場合が多いのだ。 》

《 ヤフオクに出ていた盛林堂ミステリアス文庫 「大阪圭吉作品集成」 は12,850円で終了。7人入札。高くなりすぎ。 》

 この前にも書いたが、四月に1,000円で販売された。

 プレヴェール「朝の食事」、大岡信の訳、同じ箇所を。

《  レイン・コートを着た
   雨が降っていたから
   あの人 出ていった
   雨の中へ
   ひとことも話さず
   あたしを一度も見ずに
   そしてあたしは
   頭をかかえた
   それから 泣いた     》