『文学のプロポ』つづき

 お昼から長光寺での「風の子造形教室展」の撤収。それにしても抜群の展示だった。素晴らしかった。住職に感謝。子どもたち、よかったね。開花させた先生たち、すばらしい。生きていればこそ、予想外の愉快な出来事に遭遇する。人との出会いの幸運をひしひしと感じる。

 アラン「文学のプロポ」つづき。

《 「むつかしいのは、作ることではなくて、ほぐすことだ」 》 「一六 怠ること」

《 じじつ、美しいデッサンというものは、苦渋のあとを少しもとどめていない。 》 「一六 怠ること」

《 しかるに、画家は、考えるということを絶対にしていない。 》 「ニ四 小説家の芸術」

《 美においていちじるしいことは何かといえば、ただそれだけで価値を有しているということである。またこのことが、われわれの持ち合わせの尺度が役に立たないところへ、われわれを投げ出してしまう。 》 「三一 すぐれた作品」

《 文化が形をなしていく道筋には、奇妙な法則がある。眼が肥えるにつれて、諸芸術のより未開で、より逞しい状態を発見し、そしてそのほうを好むようになるのである。 》 「三一 すぐれた作品」

《 美しいものは真実なものにたいして一歩先んじている。この一歩がすばらしい。 》 「三一 すぐれた作品」

《 セメントで接着させたりしていない、なんのかざりもない防波堤の石組みは、人間を全的にとらえ、思わず立ちどまらせ、また自信をあたえることによってその人を別人のように変えてしまう。 》 「ダヴィデの竪琴」

《 じじつ、学問のある人で、思想を変える唯一の方法は行動を変えることだということを、いっこうに知らない人が少なくない。 》 「四ニ 『オデュッセイア』」

 参ったな。こんな文章に出合うと心底からの深い共感が湧き、認識の視野が前方左右にぐい〜っと拡張される。そして快感。脱帽。

 ネットの見聞。

《 今年4月の「主権回復の日」での両陛下退席時の「天皇陛下万歳三唱」に対してあらわに当惑の表情を示されたことも陛下のバランス感覚の適切さを示しました。皮肉なことですけれども、天皇を政治的に利用しようとするものに対する距離感の表明が天皇への国民的信頼を高めているのです。 》 内田樹

《 近鉄橿原神宮駅から吉野線に乗り換える。1時間に2本! 単線! 上り電車とのすれちがい待ち! 顧客の依頼でこんな田舎にまで買取に来るのは初めてだ。 》 奈良の古本屋・智林堂

《 葛(くず)という駅がある。クズ本ばかりでなければよいが。
  六田(むだ)という駅もある。ムダ足に終らないことを祈る。
  駅名が行末を暗示しているようで、不安な気持に駆られる。
  福神(ふくがみ)という駅もあり、希望をつなぐ。 》 奈良の古本屋・智林堂