引き金の音楽

 昨日同乗した知人女性の車では、ご主人の好みのサラ・ヴォーンのジャズ・ヴォーカルが流れていた。多分1950年代後半の録音だろう。夕食の前につけてあったテレビのNHK総合で真空管の話題で、喫茶店の老オーナーがかけていたジャズがカーティス・フラー Curtis Fuller の人気作『ブルース・エットBlues-ette 』1958年録音。こりゃ、たまらん。これが引き金になり、昨夜はLPレコードの『ブルース・エット』をかけ、続いてフィニアス・ニューボーンJR. Phineas Newborn Jr.の『 A World of Piano ! 』1961年録音を聴きまくった。

 知人女性は、最近真空管アンプでジャズ・ヴォーカルを聴いている、声が柔らか、と言う。でも低音部は弱いと。低音を聴きたくて、当方はトランジスタ・アンプ。それからはもう音質はどうでもよくてカセットテープでポップスを聴く。トニー・マーティン『キッス・オブ・ファイア』、アリダ・ケッリ『死ぬほど愛して』、ライチャス・ブラザーズ『アンチェインド・メロディー』そしてスプートニクス『霧のカレリア』などなど。昔日の音楽にとっぷり浸かった。

 きょうはまたカセットテープから聴く。『素敵なあなた』をアンドリュース・シスターズ、ベニー・グッドマンで。『セント・ルイス・ブルース』をベッシー・スミス、キャブ・キャロウェイ、ビリー・ホリディ、アール・ハインズ、スリム・ゲイラート、ルイ・アームストロングで。『サマータイム』をビリー・ホリディ、メイナード・ファーガスン、モダン・ジャズ・カルテット、ジャニス・ジョプリンそして森進一で。『セント・ジェームズ病院』をルイ・アームストロングキャブ・キャロウェイ、アイリーン・ロミーそして森進一で。森進一は日本語で歌う。昭和の時代こんな編集をして楽しんだ。すべてレコードからの再録。私的昭和遺産だな……You Tube で「 summer time 」を検索すれば、サム・クック以下ぞろぞろと名唱名演奏が出てくる。昭和は遠くなりにけり。
 しかし、ジャズを聴くと、なぜかウィスキーを呑みたくなる。普段は飲まないのに。手元にはウィスキーしかないからなあ。

 ネットの見聞。
《 安倍政権は何をめざしているのか、その歴史的文脈の中で教育を論じます。彼らが教育を通じて「低学力で低賃金で排外主義的で事大主義的で歴史的批評性を欠如させた若年労働者」を大量生産しようとしているのはなぜか? 》 内田樹
《 それはこれまで僕が「日本のシンガポール化」と呼んできた趨勢のことですけれど、今度の特定秘密保護法案で、その方向性がよりはっきりしてきました。国民の人権意識をできれば中国かシンガポールベトナム程度まで引き下げることです。国民に人権意識があるとビジネスの邪魔になるからです。 》 内田樹

 ネットの拾いもの。
《 「ひよ子」の原材料表示の「卵」の文字に、「ああ、こんな方法でヒヨコになる卵をもあるのか…」と、しみじみ、もぐもぐ。 》