密室に向って撃て!

 昨日畳替えをしたので井草の香りに包まれて熟睡、目覚ましで起きる。十時間あまり寝た。女房と畳は新しいのがいい、というが、女房のほうは未経験。

 東川篤哉『密室に向って撃て!』光文社文庫2011年10刷を読んだ。『密室の鍵貸します』に続く烏賊川市(いかがわし)シリーズ第2作。前作同様ギャク満載の本格ミステリ。私好みだ。

《 なにしろ彼女は他人に仕えたことが皆無なので、人前で頭を下げるのは、落ちているゴミを拾うときくらいしかない。 》 104頁

《 「あ、あなたは、確か白波荘にいた──」
  「そうよ」
  「バイクを壊していた──」
  「《修理していた》よ!」
  「直ったんですか?」
  「壊れたわよ!」              》 111-112頁

 ページを記す必要もないか。そんなことわざわざ確かめる御仁は、オレだけか? ま、他愛ない笑いとギャグが嬉しい。ギャグの地雷原では不意に吹き出してしまうことが多々あるので、隣人に怪しまれる恐れが多分にある。隣が彼女だったら「何い〜?」と顔を寄せてくる。笑いを説明するのはまことに困難。自室で読むべし。

 千街晶之が解説で書いている。

《 作中に大量のギャグを入れることに命を賭けているような本格ミステリ作家と言えば他に霞流一の名が思い浮かぶが、霞がひとつひとつのギャグの爆発力を重視するタイプなのに対し、東川の場合は、ギャグ自体はややぬるい印象であっても、それを幾つかのシチュエーションで繰り返すことで効果を上げるという得意技を持っているのだ。 》

《 だが、著者のギャグにはもうひとつの効能がある。それは、重要な伏線をギャグと一体化することで、それが伏線だと読者に気づかせないようにする手段だ。 》

 ネットの見聞。

《 だいたい法相が国会の討論で、官僚が書き上げた文章をたどたどしく読む国だ。根本から腐っている。日本ではお馴染だろうが、外国から見るとショックなんだ。こういう奴がいる党は国民は選挙でも、相手にしない。きちんと論戦をして勝ちぬかない限り、国民が納得しないのだ。根本から腐っている。 》

《 25日の公聴会で法案への反対意見が相次いだ福島では、秘密保護法案の強行可決に怒りの声が上がっています。 》 毎日新聞

 ネットの拾いもの。

《 最近面白かった話。村上春樹群像新人賞受賞のスピーチで探偵小説のリュウ・アーチャーシリーズが好きではじめはペンネームを村上リュウにしようと思ったが先人がいたのでやめたと語り満場の笑いを誘った。それを見たスピーチの達人丸谷才一は新人なのに只者じゃないと思ったという。 》

 リュウ・アーチャーは、ハードボイルド作家ロス・マクドナルドの創った私立探偵。