『ゆたかな社会』

 穏やかな一日。ブックオフ長泉店で四冊。半藤一利漱石先生ぞな、もし』文藝春秋1992年初版、東直子『私のミトンさん』毎日新聞社2011年初版、井伏鱒ニ『晩春の旅│山の宿』講談社文芸文庫1992年2刷、イアン・サンソム『蔵書まるごと消失事件』創元推理文庫2010年初版、計420円。

 ガルブレイス『ゆたかな社会』岩波現代文庫2006年初版を読了。経済学の根本的な問題を主題にしている。アメリカの過去二百年間にわたる経済の浮沈について、資本家、投資家、労働者そして政府、経済学者たちの態度ついて、それぞれ異なる考えの発想の元から考究している。そして頑迷な経済「通念」を攻撃している。

《 通念の一部は、孤立したすばらしい直観的な発明が、今でも技術的進歩の主要な方法であり、どこにでも、また誰にでも起こりうるものだ、という懐古的な確信にすがりついている。ベンジャミン・フランクリンアメリカ的天才の神聖な原型であり、彼の地位についてとやかくいうべきではないだろう。しかし、技術革新は今や高度に組織された企業となった。 》 第十八章「投資のバランス」323頁

《 本書は、非常な重要性と不可避な困難をになった生産こそわれわれの生活の中心問題である、とする神話の奴隷となっている現状をとりあげようとしている。いまやこの神話の源泉が判明した。 》 第十九章「転換」335頁

《 生産に対する根強い先入主にとって代るものは何か? 》 第十九章「転換」337頁

 第二十章「生産と保障の分離」から最終二十四章「安全保障と生存について」は、それまでの検証と検討の足して、今後のあるべき姿、指針を示している。この結論と主張を要約、引用するのは控える。ほう、啓かれる、と感心したが、本当にそうか、とじっくり考えたい。ただ二十二章「貧困の地位」には説得力があった。

《 どうしたらよいかわからないことが制限的な要因なのではない。かねが足りぬことこそ、圧倒的に制限的な要因となっているのである。 》 384頁

《 ゆたかさの主要な影響として、私が今とくに強調したいことが二つあると思う。第一に、われわれは、ゆたかさとともに、その便益および文化から排除された人びとを安易に無視して平気でいる、という危険がある。そしてわれわれはこの無視を正当化する理論を展開する公算が大きい。 》 「あとがき」

 『ゆたかな社会』初版は1958年の刊行、これは1998年に出た四十周年記念改訂版の翻訳。鈴木哲太郎の「訳者あとがき」から。

《 『ゆたかな社会』が提起した問題、特にそもそも経済成長とはなんのためなのか、という問題は、環境問題とも関連して、現代社会の根本にかかわるパズルであり続けるであろう。 》

 ネットの見聞。The Japan Times の記事。結び。

《 この秘密法が成立すれば、日本は報道の自由が、アジアではウズベキスタンか中国並みの水準に陥る。 》
http://www.japantimes.co.jp/news/2013/11/30/national/japan-the-new-uzbekistan-of-press-freedom-in-asia/#.Upv5bTOCjVQ

《 石破の「デモ=テロ」発言は逆に言えば日本がこれまでいかにテロの標的にならずにきたかを示すようなもの。
  ほんとにテロの起きる英米仏みたいなところでそんな狂った発言しようものなら、即刻辞任ではなく更迭でしょ。
  「平和ボケ」って言葉、あなたたち戦争ごっこオタクにそっくりお返しするよ。 》 中野晃一

   《 日本の多くの人たちが生々しく記憶している国内のテロと言えば、地下鉄サリン事件くらい。さて、あれとデモは本質的に同じかな?9.11を現地で経験した人に聞いてみるといい。デモと似てた?って。
  こんな当たり前の判断力もない連中に何を秘密にするか勝手に決められていいわけがない。 》 中野晃一

 ネットの拾いもの。

《 今どきの風呂って「お湯張りをします」とか「あと5分でお風呂に入れます」とか「お風呂がわきました」とか音声でいろいろ伝えてくれるほど賢いんだから、「栓が抜けてます」くらい教えてくれてもいいと思うの。ぐすん・。》