『世界によってみられた夢』

 大震災からきょうで一千日。復旧は未だし。どこに未来への芽があるのか。ある、と思う。

 来年二月某小学校で美術のことでお話を頼まれる。昨夜からアーダコーダと考え寝つけず夢でも考え、いつもより早く目覚めてしまう。毎日九時間以上寝ているのに、今回は六時間も寝ていないじゃないかな。オツムが低空飛行。

 午後知人女性のカフェへ行こうと自転車で出かける。その前にブックオフ三島徳倉店で一休み。スティーグ・ラーソン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下)』早川書房2009年4刷、内藤礼『世界によってみられた夢』ちくま文庫1999年初版、ジャック・リッチー『カーデュラ探偵社』河出文庫2010年初版、ロバート・L・フィッシュ『シュロック・ホームズの回想』ハヤカワ文庫1995年5刷、計420円。『ミレニアム』六冊はこれで揃った。いつでも読める(いつか、だな)。店を出ると急速に曇天。冷たい風が吹く。店前の長い坂を見て意欲喪失。一路自宅へ。熱い紅茶で一服。

  曇天のオツムでさっき買った内藤礼『世界によってみられた夢』ちくま文庫をパラパラと開く。ぼんやりした光に浮かぶささやかな(多分)つつましいオブジェたち。ドローイング(線描)の写真と線描(ドローイング)のような手描き文(日記?)。

《  急な坂道がある  》

 さっきの長い坂を思う。

《  道に張る水たまりは
    周囲からの力に引っ張られている  》

 山本沖子「水たまり」(『朝のいのり』収録)

《   おさない子が目をさました。
   「雨がふっているのね。うれしいわ」
   「なぜ、うれしいの」
   「水たまりができるからよ」

    おさな子はまた、眠った。  》

 手描き文の最後。

《  曖昧さを たよりにして
   近くへ 行くことにした  》

 この二行が、作品の要諦だろう。元版は1990年刊行。それにしても、ここの内藤礼を連想させる最近の美術、手仕事作品の多さよ。

 ネットの見聞。

《 法律というものは、常にその侵犯の最低ライン(マージナルライン)を明示することで成立します。時速40km制限は、侵犯の最低速度はここですよと示している。基本的人権は人間的な生活の最低ラインを示している。しかし、特定秘密保護法にはその最低ラインがないのです。 》 平川克美

《 永井荷風は世捨て人になった。結果、戦火ですべてを失った。沈黙は禁。 》 藤岡真

 ネットの拾いもの。

《 吉田松陰俺の妹がこんなに可愛いわけがない」 》

《 「閑人亭」さんのブログで知ったが、こんな本があるんだ。驚いたなあ。
  世の中、知らないことだらけだ。さっそくアマゾンで注文。

  『蔵書まるごと消失事件 (移動図書館貸出記録1)』 (創元推理文庫)

  イアン・サンソム (著), 玉木 亨 (翻訳)  》 岡崎武志

 岡崎武志氏が拙ブログをご覧になっているとは、なんとも嬉しい。いや、光栄。