「生首殺人事件」

 昨日につづいて曇天。体は太陽光発電のようで、こういう日は鈍い。用事のついでにブックオフ長泉店へ自転車で。山崎純『死は甘くほろ苦く』東京創元社1988年初版、武光誠『知っておきたい日本の神様』角川文庫2006年4刷、計210円。

 「十ニ人の抹殺者」「人間掛軸」の作者輪堂寺輝(本名・久谷厳雄 くだに・いつお)の別名義、尾久木弾歩(おくぎ・だんぽ)の探偵小説「生首殺人事件」(『甦る推理雑誌4「妖奇」傑作選』光文社文庫2003年初版収録)を読んだ。クリスマス・イヴのパーティで賑やかな邸宅内で起きた首切り殺人事件。その検証中にまた首切り殺人発生。翻弄される警察と探偵。「人間掛軸」と同じ構図だ。

《 「窓から逃げる事はできない。扉にも鍵が掛っていたんだから逃げ道は無い筈だが、一体どうした訳なんだろう? これで三回目だ! 僕は、密室なんて言葉は嫌いなんだが今度の場合、それを信じざるを得なくなって来たよ。犯人はまるで気体の様な奴だ! これで三度、首なし屍体のある密室から煙りの様に消え失せている! 江良利君、君はこの不合理をどう思う?」 》

《 その三個の血の滴る生首を持ち去った凶悪無慚な犯人は、一体何者であろうか。 》

《 これからの数章は、むしろ解決篇とも言うべきもので、犯人検挙の為の確証を掴む事に費してあります。 》

 面白かった。殺人トリックは先達の作品をうまく利用している。「十ニ人の抹殺者」「人間掛軸」「生首殺人事件」と三作読んだが、甲乙つけ難い。『十ニ人の抹殺者』のシリーズ名「ミステリ珍本全集」という標語が合っている。

 文庫の口絵カラーに雑誌『妖奇』(1947-1952)1951年11月号の目次が載っている。「処女鬼」「肌着のない女」「欲情殺人事件」「女ばかりの留置場をのぞく」「女暴力団の首領になる迄」などすごい題名だ。文庫の巻末には総目次。「野獣四つ乳房」「乳房魔」「ズロオス殺人事件」「ストリップショウ奇譚」「女体アルバム」「二人小屋乳房入墨」「黄金乳房」「蠢く女体」などなど妄想をかきたてるオンパレード。混沌とした往時、昭和二十年代が偲ばれる。解説で漫画家の喜国雅彦が書いている。

《 太陽の下で読む本じゃないっての。変な目で見られるっての(引用者:略)。そうなのだ、「夢」や「希望」はまだ遠かったけどれ、「野望」は手の届くところにあったのだ。 》

 ネットの見聞。姫野カオルコ『受難』は面白かったが。映画は?

《 そこのお兄さん、「受難」はオマンコが出てくるからって、抜ける映画じゃ、ぜんぜんないです。むしろ勃起したものもちぢこまる映画です。 》 姫野カオルコ

 毎日新聞夕刊、千葉大教授 広井良典パラダイムシフト 第2部 脱『成長』への道 11」から。

《 ちなみに、実は日本の貿易依存率(GDPに占める輸出入の割合)は10%強で、多くの国が3〜4割である中で「低い」部類に入る。つまり日本はむしろ内需によって支えられている傾向の強い国なのであり、高度成長期を通じて”輸出立国神話”が作られたといっても過言ではない。 》

 これは知らなかった。日本経済への見方か変わる。

 ネットの拾いもの。

《 ”ひとりの党”になるかも 》

《 休肝忘れて、急患にならないようにご注意を! 》

 我が家の前、昼間高齢者は歩いているけど静か。深夜は酔っ払いで賑やか。「おまわりさんも手伝ってくださいよ」という若い男の声。寒いので再び寝入った。