別品

 晴天。富士山を仰ぐ。雪は少なめ。宝永火口に雪はほとんど見られない。

《 宝永四年十一月二十三日(1707年12月16日)に富士山の南東斜面にあらたな火口(宝永火口)が開き,大規模かつ爆発的な噴火(宝永噴火)が発生した。 》 小山真人
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/Fuji/fujid/1707.html

 昨日の毎日新聞「今週の本棚」。天野祐吉の遺著『成長から成熟へ』集英社新書中村達也の評から。天野は「別品」を提唱している。

《 経済力にせよ軍事力にせよ、日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい『別品』の国でありたい」と。 》

 丸谷才一『別れの挨拶』集英社湯川豊の評から。

《 明治の中頃から後半にかけて、江戸期以来の日本文学が大きく変化して、「大まじめで厳粛な、おもしろみのないものになった」のだが、それはなぜか。
  十九世紀末からのヨーロッパ文学の主流となった自然主義文学を「誤解して」輸入した結果であり、その誤解のもとは、同時期にヨーロッパ文化が遊び心を衰退させていたことにあるとする。驚いたことにその衰退のありさまを男の服装の変化を例にとって語るのである。日本の私小説が生まれた経緯が、着想の新しさのよって改めて実感できる。 》

 ほかに共感した記述。

《 今の日本、外交戦争ごっこより「人命の安全保障」の視点が欲しい。(引用者:略)防災そして医療の改善は最大の安全保障だ。 》 磯田道史

《 「国でも人でも、強い者は周りに迷惑」と断ずる著者。そんな大人に私もなりたい。 》 加藤陽子末井昭『自殺』評)

 末井昭といえば『素敵なダイナマイトスキャンダルちくま文庫1999年初版が衝撃的だった。冒頭一行。

《 芸術は爆発だったりすることもあるのだが、僕の場合、お母さんが爆発だった。 》

《 正確に言うと、僕のお母さんと近所の男の人が抱き合って、その間にダイナマイトを差し込み火を付けたのであった。ドカンという爆発音とともに、二人はバラバラになって死んでしまった。 》

 この自伝の印象があまりに強くて、続く『東京爆発小僧(トーキョー・ダイナマイト・キッズ)』角川文庫1985年初版と『東京デカメロン』角川文庫1987年初版は本棚に鎮座したまま。私より二歳年上。

 毎日新聞朝刊、コラム山田孝男「風知草」、題「幸福の取引」から。経済学者・力石(ちからいし)定一の言葉。

《 「現代の技術は物理学と化学の法則だけを組み合わせて、便利さとスピードと省力化を深追いします。生態学が無視されるんです。原発が典型だ。技術的に未完成なのに『そのうちになんとかなる』という、テクノロジーアセスメント(環境影響調査)の原則に反した考え方で進められます。生態学的に健全なものに向かって技術の選択を変更しなきゃならんのですよ」 》

《 青森県の使用済み燃料再処理工場は今年10月、通算20回目の完成延期を決めた。高速増殖炉は米・仏さえ、とっくに撤退している。まだ分からないのだろうか。 》

 ネットの見聞。

《 佐藤氏、日本版NSCで常設される「四者会合」(首相、官房長官、外相、防衛相)は、日本が戦争するかしないかを決める最高意思決定機関、つまり統帥権の発動をするところ、と指摘。国際社会も「日本は戦争をできる体制の国にすでになっていて、それを立法で追認している」と見ている、と。 》 Shoko Egawa

《 ASEAN首脳会議におけるAKB48接待歌舞音曲写真を見て恥ずかしいと思わない人とは、まともに会話を運営できる自信がありませんぞ。 》

 ネットの拾いもの。

《 カーリング見てたらあそこでルンバを走らせたくなる。 》