「ふたりの距離の概算」

 書類をゴミ箱へ、本棚の本を段ボールへ収め、空いた場所へ本を詰める。ブックオフ行きの本があった。二冊だけど。たまに本を移動させないと整理が追いつかない。少しは見通しがよくなったかな? 本が移動しただけのような……。

 毎日新聞「2008年『この3冊』」の切り抜きが出てきた。五百旗頭(いおきべ)真が松本武彦『列島創世記 全集 日本の歴史第1巻』小学館を挙げている。本棚のいい位置にあるある。池澤夏樹黒川創『かもめの日』新潮社を。新潮文庫であるある。養老猛司は隅研吾『自然な建築』岩波新書。読んだ読んだ。藤森照信中野京子『怖い絵2』朝日出版社。あるある。角川文庫で読んだはず(記憶なし)。

《 初耳の著者だが、その学識、その語り口、ただものではない。美術語りの新タイプの出現といっていいだろう。 》

 米澤穂信ふたりの距離の概算角川書店2010年初版を読んだ。古典部シリーズ。バックグラウンドミュージックはナイジェリアの SEUN ANIKULAPO KUTI&EGYPT80 『 FROM AFRICA WITH FURY:RISE 』2011年とジンバブエの MOKOOMBA 『 Rising Tide 』2012年。どちらもよく練られた生きのいいバンドだ。ただし、耳をそばだてるような革新性は乏しい。そしてギリシャのベテラン歌手 Haris Alexiou『 i agapi tha se vri opou ...』2009年をかける。

《 彼女をどれぐらい後ろに置いてきてしまったのか、それはもう、概算のしようもなかった。 》

 結びの一文が深い余韻を残す。よくぞここまで引っ張ったものだ。

 やはりこの一年を振り返ってしまう。いろいろな方から「何してる?」と訊かれた。友だちは、「ウロウロしているよ」と近況を訊いた知人に応えたとか。それは当たってる。運動を兼ねて自転車で近くのブックオフ各店へ行っている。テレビはお昼と夕食の時にニュースを見るだけ。この一年で私にはテレビが不要だとわかった。また、東京の魅力がぐっと薄れた。才能は東京に集中しているわけではないことを実感。
 事故病気がなければ、知人友人が身近にいれば、趣味の愉しみでは金が少しあればよい。その「少し」が人によって大きく違うだろうけど。ま、自分にとっては人生で一番いい一年だった。

 ネットのうなずき。

《 解釈し尽くせない作品のみが真に解釈に値するように、書き尽くせないテーマのみが真に書くに値する。優れた思索者の全集を読むと、同じ話を繰り返しているだけに思える事があるが、論じ尽くせないテーマに出会いえているからこそ、数限りない角度から同一のテーマを掘り下げ続けていくことができるのだ。 》 山本芳久

 ネットの見聞。

《 2013年7月から10月までの南極の海氷面積はアメリカのNSDICが発表したデータによると1981年以降最大で,現在ロシア船が南極海で立ち往生しているようです。 》 池田清彦

 毎日新聞朝刊に写真付きで載っていた。

 ネットの拾いもの。今年の出来事など。

《 「激しい寒気で『ノミのサーカス団』全滅」(ドイツ) 》

《 「通夜の葬儀場に車が突っ込む(死者は御遺体だけ)」(日本) 》

《 「病院の死体安置場の冷凍庫がオークションに出品」(ニューヨーク州) 》

《 一人でラーメンを食べに行くことをヒトラーと言います。気合の入った人は店に入る時に「入る!」と声をかけます。これを業界ではハイル・ヒトラーと呼んでいます。 》

《 争うのが人間の本能。仲良くするのが人間の知恵。  》