「あなたは古本がやめられる」

 kashiba @猟奇の鉄人『あなたは古本がやめられる』本の雑誌社2004年初版を読んだ。当時ブログを愛読していたので予約したのだろう、サイン入りだ。以前読了と記憶していたけど、全部は読んでいなかったらしい。裏表紙の帯文「たとえばあなたが、」

《 1...一冊も買わない日が三日続くとちょっとしたことで涙ぐむ癖のある人で、
  2...生まれ変わっても読み切れないほど「積ん読」本が家中にあふれてて、
  3...年間のボーナス以上の金をつぎ込んでたった数冊の古本を衝動買いしたことがある人
  だったら? 》
 「あなたは古本がやめられる」(本の題名)。その先の帯文。

《 ......でも私は無理、やっぱり。 》

《 海渡英祐クラスの作家は、どうやって日銭を稼いでおられるのだろう。(引用者:略)『影の座標』辺りは今の新本格ファンにも喜んで迎えられる作品だと思うし、『おかしな死体ども』などは絶対棚から切らしてはいけない傑作本格推理短篇集だと信じているんだけどなあ。 》 1999年10月2日

 この記事から海渡英祐(かいと・えいすけ)を買い始めた気がする。『影の座標』講談社文庫1980年初版、『おかしな死体(ホトケ)ども』徳間文庫1983年初版を持っている。未読。

《 『痛み かたみ 妬み』小泉喜美子双葉社・帯)500円/ やったあー1!小泉喜美子最凶の入手困難本をげっとおおおおお! この段階で本日の「血風」が確定! 》 1999年10月14日

 この1980年初版帯付を、私は新刊で買っている。彼女の最凶の入手困難本は『幻想マーマレード太陽企画出版1981年初版だと思うが、これは小泉さんから恵まれた。添えられた手紙から。

《 いつもお心かけて下さって、本当にありがとう。 》

 以下はスヌーピー本の話。

《 しかも第一期でお陀仏の泡沫叢書かと思いきや、なんと第二期、第三期に遭遇。あろうことか3巻セットだと函が付くのだ!! 》 「バーバーブラウン家の犬  鶴書房函付セットにやられた!」 90-91頁

 函といえば以前ブックオフ旺文社文庫三冊函入りを105円で買った。「青春メルヘン傑作選」という題で、ルイス・キャロル不思議の国のアリス』、サンド『愛の妖精』、ラルボー『めばえ』。三冊とも重版と記載されているけど、初版の発行日(1975年、1966年、1976年)しか記されていない。こんな函入り三冊セットはこの時しか見たことがない。ネット検索すると、2008年2月16日に買った。

《 架空探偵戦記「大逆襲! 巨大軍艦<幻影>の夢 (1)孤島の鬼軍曹」桜島不埒
  「昭和19年10月、連合艦隊真珠湾作戦を成功に導いた源田参謀立案による乾坤一擲の極秘作戦に着手する。作戦名は<猟奇>。生きた人間の脳髄を兵器に移植せしめるという帝国海軍省科学部・海野13部隊の開発した大発明によって、帝国が誇る大探偵小説家・江戸川乱歩は、巨大軍艦<幻影>となって甦った!!マレー沖に迎え撃つは、米国の無敵精鋭巨大空母群。次々と雲霞の如く襲い掛かる米艦載機の論理のアクロバット攻撃!危うし!<幻影>!!だが、その時、真の<猟奇作戦>は発動する。遥か成層圏から飛来するメチルアルコールを動力源とした黒き死の使い・要塞空爆機<小栗>、そして、海神より遣われし救世主、その名は秘密諜報艇<大阪>!!彼らこそ南海に散った鬼軍曹たちの生まれ変わりだったのだ!!たからかに唱えよ!ちゃかぽこ!今、<幻影>の四十面相砲が、敵を殲滅する!!!」 》 2002年8月31日
 http://www.ann.hi-ho.ne.jp/kashiba/0208z.htm

《 この国でアリバイトリックが世界一発達したのは、世界で一番正確に運行される列車と鮎川哲也のお蔭である。 》 2002年10月7日
 http://www.ann.hi-ho.ne.jp/kashiba/0210x.htm

 俄かに行きたくなってブックオフ長泉店で二冊。鮎川哲也ペトロフ事件』角川文庫1979年初版、保阪正康対論集『昭和の戦争』朝日文庫2009年初版帯付、計210円。後者の「文庫版あとがき」から。

《 このところこうした史実を無視して、一方的な独断や偏見をもとに史実を都合よく結びつけての論が目立っている。これは歴史に学ぶ、あるいは歴史と謙虚に向き合う姿勢とほど遠い傲慢さに通じている。戦後の史実解明のアカデミズム、ジャーナリズムの努力は何だったのかとの問いを発したくなるほどだ。 》

 帰宅して読書を続ける。

《 これと同じケースで新潮文庫ドイル『わが思い出と冒険』昭和40年は入手時に赤帯元パラにカバーが付いていました。 》 「答えを知るのは果たして? 二重カバーの謎」 204頁

 本棚から取り出して確認。確かに。赤というより橙色。昭和四十年八月五日発行。全100冊の復刊シリーズの一冊として、平成六年三月十五日に六刷が出ているが、これは他と同様の厚めの表紙と装丁。この二冊、古本屋で安く購入。

《 その点、松本清張は恐ろしく題名の付け方が巧い作家であった。 「点と線」ゼロの焦点」「けものみち」「時間の習俗」「Dの複合」「蒼ざめた礼服」まあ、よくぞこれだけ印象的な題名を思い付けたものだ。アイキャッチが題名の役目だとすれば、これほど効果的な題名もなかろう。
  勿論これは作者が松本清張なればこそ自信をもって出来ることであり、三下がこのような題名をつければ、「点と線」は製図コーナーへ、「ゼロの焦点」は学習コーナーへ、「蒼ざめた礼服」は服飾コーナーへ並べられるのがオチである。まあ、「けものみち」が地図コーナーへ行くことはないであろうが、仮に行ったとしたらそれは只の嫌がらせである。 》 「しみじみグッと来る? 輝かしきニッポン式書名!」 205-206頁

 ああ、面白かった。

 ネットの拾いもの。

《 青木ヶ原樹海に一人旅 》