「世界はゲットーだ!」

 人の作ったものはすべて古くなる、古臭くなる作品が殆どだろう。流行、嗜好の変化と作品の劣化にもかかわらず生き残る(後世が評価する)作品は、文学であれ美術であれ音楽であれ、ごくわずかだろう。先日CD棚を漁って、思い出したように取り出したウォー WARの『 世界はゲットーだ!THE WORLD IS A GHETTTO 』1972年を久しぶりに聴いた。これはいい!時代の制約を超えて心にずんずん響く。帯のピーター・バラカンの推薦文。

《 「激動の'70年にウォーがどれだけ人気の高いバンドだったか、知らない方も、これを聴けば納得。」 》

 固いコンクリートの路上、魔術的な複合リズムと激情をぐっと抑えた演奏が、聴く者の導火線に火をつける。ジワジワと立ち上る熱気に火傷するほどだ。しかし、熱くなるほどクールになる、同時代への冷めた認識も隙間風のように感じる。名盤だ。

 少したまった毎日新聞を整理。二十一日夕刊「特集ワイド」は法政大学教授田中優子へのインタビュー。

《 私は原発即ゼロであるべきだと考えています。もちろん廃炉には何十年もかかりますが、即時撤退を決断し、方向性を打ち出せば廃炉は大きな公共事業になります。海外には原発ではなく廃炉技術を売ればいい。未来志向の新たな可能性です。 》

 十七日夕刊「パラダイムシフト」は、北海道大学教授遠藤乾(けん)の「グローバル化を飼いならす欧州」。

《 欧州でも、もちろん農業や文化などの「聖域」はある。しかし、欧州はそれらを「原則」あるいは普遍的な理念で包み、他国民にも分かる論理で守ろうとする。(引用者:略)農業を例にとってみよう。ここで欧州は、「環境保護」「食の安全」「持続可能性」といった普遍的価値の下で、しかも反自由主義貿易のスタンスを取ることなく、自地域の農業を守ろうとする。具体的には、「GAP(適正農業規範)」という良質な農業慣行をスタンダードとして設定し、土壌や水質汚染を防ぐことで、環境と安全を守り、農業を持続可能にするのである。(引用者:略)世界で先んじてGAPを導入しているのは欧州だから、結果として域内の農業や田舎の生活が守られる。しかもこれは私企業の選択の結果なので、WTO世界貿易機関)の法に明示的には違反しない。 》

《 並行して欧州は、「ハーモナイズ・アップ原則」を掲げ、ここでも普遍的な価値の下で自地域の産業を守ろうとする。 》

《 自由貿易原理主義者からすると、このやり方は巧妙な貿易障壁に過ぎないが、自由な交換だけが正義なわけではない。環境や安全といった他の価値をそれと折り合うような形で守ろうとするのである。 》

 晴れた。ブックオフ長泉店で二冊。保阪正康『眞説 光クラブ事件』角川書店2004年初版帯付、『J.ボードリヤール×吉本隆明 世紀末を語る』紀伊国屋書店1995年初版帯付、計210円。文庫本棚を眺めていたら年配の女性から声を掛けられた。美術館を開く前にやっていた店を懐かしがっている。団子、ヨモギの大福どれも美味しくてたくさん買った、と。二昔前のこと。午前三時から仕事。よく病気にならなかったわ。

 ネットの見聞。

《 雪は恐ろしい。モンスターとしか言いようがない。
  優しげなのは降り始めの時だけ。一週間たった今はセメントのように固まり、スコップの歯が欠けてしまうくらい。白いスライムの化け物の残骸があちこちに小山になってる…。 》

《 皇太子さまは23日、54歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち宮内記者会との会見で「今日の日本は戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受している」と述べ、天皇陛下と同様、現行憲法が戦後の日本に果たしてきた役割を高く評価。その上で「今後とも憲法を順守する立場に立ち、事に当たっていく」との考えを示した。
 陛下も昨年末の80歳誕生日会見で「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法をつくり、さまざまな改革を行って今日の日本を築いた」と述べている。 》 東京新聞
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022201002334.html

 ネットの拾いもの。

《 七面鳥は英語でターキー(トルコ)と呼ぶが、トルコでは「ヒンディ」(インド)と呼ぶ。
  アラビア語では「ギリシャ・チキン」と呼ぶが、ギリシャでは「フレンチ・チキン」と呼び、
  さらにフランスでは「インディアン・チキン」と呼ぶ。 》

《 慈悲出版、というダジャレを思いついた。思いつかなければよかった。 》