朝、2円切手を買う。昼過ぎ、源兵衛川中流部の桜の下でまったりしていると、銅版画家の林由紀子さんが通りかかる。先月の銀座での個展で某出版社が興味を示してくれたと。いい話に相応しく桜は一気に満開。
フレデリック・ブラウン『不思議な国の殺人』創元推理文庫1984年11刷を読んだ。1950年の発表。アメリカの田舎町カーメル市で23年間、週刊誌『クラリオン』を出してきた53歳の男が遭遇する、『不思議の国のアリス』を地で行くような仰天出来事。あげくに目の前で人が死に、殺人事件の容疑者に。どこまでが現実でどこからが虚構なのか。
《 私が狂っているのか──それとも誰かが? 私はおそろしくなってきた。 》 177頁
《 今晩までは実に楽しいナンセンスだと思っていた。ところが今晩はルイス・キャロルの最も楽しいお話から、ぞっとするようなことばかりが起こっていた。 》 194頁
《 ルイス・キャロルと血なまぐさい殺人。
鏡の国でアリスが見つけたもの。
アリスはそこで何を発見したか? 》 231頁
《 事件の発展をファンタジーの中に求め、それでいて最後には読者を理づめの解決へ導いてゆくのである。 》 訳者あとがき
《 読者自身が「不思議な国のアリス」同様に非現実の中の現実に酔いしれてしまうことは確かである。 》 訳者あとがき
ルイス・キャロルの詩句がいたるところに散りばめられていて、出典を知っている人にはやたら面白いだろう。参照できる本は持っているけど、未読。都筑道夫のミステリーを連想。先月25日に紹介したオールタイム・ベストミステリーの第8位。
ネットの見聞。
《 事業者の皆様が作成する領収証やレシートなどの「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税については、平成26年4月1日以降に受取金額が5万円未満のものについて非課税となります(現在は、記載された金額が3万円未満のものが非課税です。)。 》
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/campaign/h26/Jan/03.htm
《 かつて捕鯨の国際会議でフランス代表は「日本の捕鯨は鯨を苦しめ野蛮なので禁止すべき」と発言した。これに対し日本代表は「日本は平和憲法を遵守し、生物を殺すノウハウに疎いので、最大の武器輸出国フランスから、殺し方のアドヴァイスを頂きたい」と返した。それもおいおい出来なくなる。 》 藤岡真
《 日本のメディアが、調査捕鯨についての日本政府の論理構成の脆弱性、詭弁性を直視せず、「鯨が食べられなくなる」「捕鯨の街とまどう」のような、情緒的記事 を垂れ流しすることに、危機感を覚える。情緒に流れるメディアは危険である。それは、戦前の経験で痛いほど分かっているはずだ。 》 茂木健一郎
《 そして伊藤吉之助という留学生が1919年、ハイデガーに『茶の本』のドイツ語訳をプレゼントした。で『存在と時間』は1927年出版なので、パクリ疑惑が持ち上がる。哲学者の今道友信が「剽窃に当たる」とハイデガーの弟子ガダマーに噛み付いた。そしたら絶交された(笑)。世界内存在は日本起源! 》 どかい
《 前にも書いたけど、前期の世界内存在だけではなく、ハイデガー中期後期の、現れるものと隠れるものの存在の形而上学も、岡倉天心『茶の本』由来疑惑。 》 森岡正博
《 まあ、ハイデガーの面白さは手品師の面白さで、基本さほど新しいことは言ってない。奇術芸にハマる人は虜になって戻って来れなくなるけどね。というのが私のハイデガー観。 》 森岡正博
《 個人的に「銀座Hanako物語」で最も印象に残ったのは教文館書店の社長のエピソード。皆さん、雑誌ってひとつの書店で最大何冊売れると思いますか?せいぜい600〜700冊と思うでしょ?ところが「Hanako」に惚れ込んだ社長はあの狭い店頭に屋台を設置して雨の日も風の日も深夜まで屋台に陣取って「Hanako」を売りまくり、創刊から3年間の平均で1号あたり2400冊売ったのだそう。ちなみに最高記録は89年銀座特集号の3万冊。 》 長谷川町蔵
椎根和『銀座Hanako物語――バブルを駆けた雑誌の2000日』 紀伊國屋書店
ネットの拾いもの。
《 【速報】東京ディズニーランドが日本からの独立を宣言。独立国家に。初代大統領にミッキーマウス氏が就任。 》
《 今日の夕飯の席で祖母が「初めてのデートの時に横浜で観た映画を覚えていますか?」と祖父に問い掛け、祖父がタイトルを答えるもどうやら外したらしく、記憶力の話でもするのかと思って聞いてたら「覚えているわけないのよ、貴方あの日私の顔ばかり見ていたんだもの」って続いて 斬新な惚気話だった。 》
《 ♪ この広い林いっぱい 立つ杉が 一つ残らず 花粉をだすの〜 ♪ 》
《 こう毎日毎日嘘ばっかり報ぜられる世の中だと一日ぐらい本当のことしか話さない日があってもいいんじゃないかと思う。 》