「怪奇の創造」

 朝、源兵衛川上流部のヒメツルソバを抜く。成長の早いこと。ゴミ袋一袋で済んだ。ブックオフ長泉店で二冊。鹿島茂『明日は舞踏会』中公文庫2000年初版、山下清『日本ぶらリぶらり』ちくま文庫2007年7刷帯付、計216円。

 星新一・編『怪奇の創造  城昌幸傑作選』実業之日本社1982年初版を読んだ。最初の「ラビリンス 1勝利」にビックリ。冒頭一行。

《 その女は、死の床に横たわっていた。あと三十分とは、この世に生きていないだろう。 》

 最後の文。

《 女は、死に、死ぬことをもって勝った。 》

 昨日の『食堂つばめ』を連想。つづく「夜の街」の一文

《 文目(あやめ)もわからぬ。 》

 気になって手元の辞書を引く。《 文目も分かぬ 》 講談社学術文庫。《 文目もわかぬ 》 広辞苑。《 文目も分かぬ 》 日本語大辞典。

 連想したのが「百代の過客」の読み方。現代的には《 ひゃくだいのかかく 》。古い読みでは《 はくたいのかかく 》。ドナルド・キーン『百代の過客』は《 はくたいのかかく 》と、古い読み方。永遠の旅人といった意味。

 怪奇〜ホラーではなく、現実には起こりえない奇妙な話という印象。冷笑や極端に走らない、穏やかな筆運び。収録三十三篇から私的ベスト3は、「根のない話」「あなたはだれなの」「復活の霊液」。「根のない話」はわずか二ページ、ジャックと豆の木パスティーシュ。「あなたはだれなの」は輪廻転生の時間パロディ。「復活の霊液」は、愚かな利己心を笑い飛ばす話。

 昨日の毎日新聞夕刊、木村俊介(ノンフィクションライター)「ナビゲート2014」。

《 こんな時代には何かを深く「特別」に見せるのではなく、等身大のまま現象の深みに達し何かをつかみその滋養を伝える、ある意味では「普通」にしがみついたような、盛りすぎない地道な報道の価値こそが再評価されていくのではないだろうか。 》

 友だちはつねに「普通が一番」と言っている。それは「中庸」につながるかもしれない。中庸は凡庸とは全く違う。これ肝要。怪奇の創造  城昌幸傑作選』にも中庸を感じた。

 ネットのうなずき。

《 下村文科相教育勅語の中身はまっとうなことが書かれている」発言に驚く。「勅語」の要は「一旦緩急あれば義勇公に奉じる」(いざというときは天皇に命を捧げよ)にあり、「父母に孝」に始まる12の「徳目」も全てここにつながるものだった。若者を戦争に駆り立てた軍国教育を復活させるというのか。 》 志位和夫

 ネットの見聞。

《 インド洋で延々と続く消息不明機の捜索で、科学者が「インド洋の海底の地図よりも、火星の地図の方が詳しく出来上がっているぐらいなんです」と話していたよ。身近な未知の世界、それはインド洋海底。 》