「アルベール・サマン名訳集成」

 『アルベール・サマン名訳集成』盛林堂ミステリアス文庫2012年初版を読んだ。一昨日取りあげた城左門の左門は、アルベール・サマンに由来する。典雅な訳文だ。

《 明治の文豪がワープロ(それこそ「文豪」を)持ってたらまたぜんぜん文章違ってたんだろうけど、誰に持たすのがいちばんおもしろいだろうか。 》 T男

 上記の森鴎外上田敏らの訳文は、ワープロでは漢字変換ができないだろうなあ。森鴎外でさえ鴎だから。ワープロの「書院」を使っていた時は外字機能を使って漢字を作っていた。

 用を済ませてその足でブックオフ長泉店へ。鯨統一郎『堀アンナの事件簿』PHP文芸文庫2012年初版、関口夏央・谷口ジロー『「坊ちゃん」の時代 第二部 秋の舞姫双葉文庫2002年初版、半藤一利日本国憲法のニ○○日』文春文庫2008年初版、四方田犬彦『ハイスクール1968』新潮文庫2008年初版帯付、計432円

《 ついに恐るべき時代になりました(ぼくにとって)。新学期にあたって、学生にアンケートをとった結果、ついに全員S・キングを知らない。「スタンド・バイ・ミー」を見たことがないという結果に。「スター・ウォーズ」も全滅。さらには「マトリックス」も知らない学生数多し! 》 風間賢二

 時代の流れは意外と早い。たった四半世紀前なのに「懐かしき昭和」。と慨嘆したら、昭和初年(1926年)の四半世紀前は明治三十四年(1901年)。四半世紀は短いようで長い。長いようで短い。1970年の新聞見出し「戦後二十五年」を印象深く記憶しているが、1970年から四半世紀後は1995年。考えていると歴史・時代感覚が歪んでしまいそう。
 それにしても、と思う、四半世紀で世相はガラッと変わる。たった四半世紀前の美術作品、流通商品の大部分が古臭く感じられてしまう。当時は斬新、新鮮に感じられても、たった四半世紀で大部分が陳腐化老朽化。新作新品から稀なる例外(不朽の優れもの)を探すのは至難の技。だから面白い。

 雲が見える。富士山が見える。箱根山が見える。木々が見える。自然は常に新鮮、古臭くならない。人為人工のものはなぜ古臭くなるのだろう。