「 THE WORLD IS A GHETTO 」

 朝、そばの床屋で散髪。最近、若い人が床屋へ戻ってきたという。髪を七三、八二にきれいに分け、櫛の目がはっきり出る、数十年前の髪型に、 という要望。美容室ではできない髪型。んな話題で盛り上がっていたら、BGMがWARのヒット曲「 THE WORLD IS A GHETTO 」1972年。

 ネット環境が整ったら世界は自由に満ちる、という夢は逆転して、ネットの仮想世界は悪意に満ちている、となった。喜ばしい自由を求めていた ら悪意の牢獄ができた。

 若い人は昭和四十年代(1965年〜1974年)に見果てぬ夢を抱いているのかも知れない。その時代の日本は反公害、大学紛争、ベトナム反戦から 小劇場、アヴァンギャルド芸術まで、一部の時代感覚に鋭い人たちが突出した行動をしていた時代だ。2011年以後、平成生まれの人たちは、その時 代に現在では適わぬ初源の輝き、原点を見出しているのかもしれない。そういえば、カセットテープの生産がこの三年上向いているという。アナログ レコードは根強い人気を保っている。アナログ〜肉体の復権静岡市の新しい大型商業施設マークイズ静岡の開店一年の売り上げが予想を下回ったと、 テレビで報道していたが、去年行ってこりゃダメだ、と感じた。具体的にどう、とはうまく言えないけれど、店の個性がない、というか。この一年、 三島市旧市街地では小さなお店が増えている。個人の体温を感じさせる店=アナログ感覚の店が多い。流れはこちらだろう。私の勘。

 昨日のブログで引用した関川夏央の記述、

《 わたしたちの現にいまある考えかたや反応の原型を塑像したのはその時期ではないか。 》

 に1960年代後半を思う。関川はまた、こう記している。

《 「戦後」という時代は、わたしの考えでは一九七二年ないし一九七三年についえた。それ以後はべつの時代と区別すべきである。 》

 坪内祐三『一九七二  「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』文春文庫2006年初版。

《 その講義を始めた頃、強く感じたのは、東京オリンピックの一九六四年から大阪万博の一九七○年に至るいわゆる高度成長期のわずか七年間の、 時代変化の勢い、すなわちドライヴ感の激しさだ。 》 13頁

《 激しさがピークになるのは一九六八年。 》 14頁

《 つまり、高度成長期の大きな文化変動は一九六四年に始まり、一九六八年をピークに、一九七二年に完了すると。 》 14頁

 一九六九年大学入学。一九七三年大学卒業。激動の時期を東京で過ごした。自ら巻き込まれるように、突出した渦巻きへ関わっていった。後の人生 に決定的な影響を与えるはずだ。

 午後、友人知人四人で隣町の函南町長と町長室で面談。要請にたいしてその場で快諾を得る。ほっ。どっかの市長とは大違い。

 ネットの見聞。

《 年間ベストは投票するほど数を読んでいないので遠慮することが多いけど、オールタイム・ベスト選びはたのしい。ただ、この手のアンケート の結果はほとんど『そして誰も』『Yの悲劇』『幻の女』『長いお別れ』といった常連組が上位を占めてしまい、面白味がない。そこで「初めての人 に」も入りやすい短篇集を中心に選んでみた。すこし挙げてみると――  藤原編集室

  1.『ブラウン神父の童心』G・K・チェスタトン
  2.『エラリー・クイーンの新冒険』エラリー・クイーン
  3.『謎のクィン氏』アガサ・クリスティー
  4.『招かれざる客たちのビュッフェ』クリスチアナ・ブランド
  5.『不可能犯罪捜査課』ジョン・ディクスン・カー
  6.『コンチネンタル・オプの事件簿』ダシール・ハメット
   順位はあんまり関係なく、通し番号のようなものと思っていただきたい。
   とりあえず最初は「巨匠」クラスを並べてみた。
  7.『メルトン先生の犯罪学演習』ヘンリー・セシル
  8.『あなたに似た人』ロアルド・ダール
  9.『特別料理』スタンリイ・エリン
  10.『11の物語』パトリシア・ハイスミス
  11.『クライム・マシン』ジャック・リッチー
  12.『快盗ルビイ・マーチンスン』ヘンリイ・スレッサー
  13.『怪盗ニック登場』エドワード・D・ホック
  14.『密室殺人傑作選』H・S・サンテッスン編
  15.『黄金の13/現代篇』エラリイ・クイーン編
   この調子であと5冊、短篇集で埋めてもよかったんだけど、
   なんだかそれもという気がしたので、軽めの長篇を並べることにした。
  16.『懐かしい殺人』ロバート・L・フィッシュ
  17.『毒薬の小壜』シャーロット・アームストロング
  18.『黄金の褒賞』アンドリュウ・ガーヴ
  19.『スイートホーム殺人事件』クレイグ・ライス
  20.『されば愛しきコールガールよ』ロス・H・スペンサー  》

 持っていないのは『黄金の褒賞』だけか。読んでいないのは……やめた。

 ネットの拾いもの。

《 紀伊國屋書店新宿本店2階で、やだなにこの私の好きな本が並んだ棚は!と思ったら、米澤穂信さんセレクトの「米澤屋書店」フェアだった。 『壜の中の手記』とか『見えない都市』とか『ペドロ・パラモ』とか、もうたまらんです。 》

《 母はその昔「ムーミンとロール」という2人かと思ってた。ムーミントロール・・・。 》

 ムーミン、読んだことがない……。

《 羅針盤が狂いはじめたら、勘にたよるしかない。 》

 私は最初から勘だけ。