「 日本近代の名作 」

 吉本隆明『日本近代の名作』新潮文庫2008年初版を読んだ。

《 漱石、芥川、賢治。近代文学の名作24篇の本質を鮮やかに射抜く、 吉本文学論の精髄! 》 帯文

《 ひと度死んだ後蘇った作家や作品でないと名作とか古典とか呼ぶことは、 大へん難しい。 》 「はじめに」

《 名作の個々の作品と作者は両氏の選択されたもので、わたしのわがままで 落していただいた項目は一つある。 》 「はじめに」

 既読の志賀直哉『暗夜行路』、吉川英治宮本武蔵』から読む予定の谷崎潤一郎細雪』、読むかもしれない折口信夫『日琉語族論』、柳田國男海上の道』 などなど。

《 日本の仏文学者はフランスの作家や思想家について、自分の好きな作品を翻訳 ・紹介するだけだから、翻訳で読む者はその作家や思想家について「これがすべてだ」 と思ってしまう。だが、それはとんでもない間違いだ。 》 小林秀雄『無常といふ事』

 なんとなく手持ち無沙汰で、本棚の最下段を眺める。吉増剛造『螺旋形を想像せよ』 小沢書店1981年初版が目に留まった。

《 真崎という海岸まで行く途中、タクシーでは高くつくので定期バスにのって いくとき田老(たろう)という漁港を通った。するとバスは幾度となく防波堤をくぐる。 そこには鉄の扉があり、そこをくぐる。異様な感じがして案内書を開いてみると、 田老はかつての(昭和八年)三陸津波の大被害地であったという記述があった。 まるで、海中か海底をバスに乗って行くような幻が湧き、この日は波静かな陸中の 海岸を一日散策したのだった。 》 「三陸沖」

《 田老を過ぎ、山中の雪道を通って、私は陸中海岸に佇んでいた。押し寄せ、 引き戻す、潮の模様が、無数の目の叫びに見え、ここから生まれて来たのかと、 じっと潮の声を聞いた。物質の貌ということはできない。潮は、全身が目。うねる 無数の目。その目が皮膚状に語りかける。叫びを聞いていた。そうだ、魚類が、 この下にいる。鱗。その目。眼下への傾斜、想像の投身。数億年を無化することから、 遮っている、私を抱擁する両腕。それは、たしかに、潮路を閉ざす、海門、閂、 蝶番、である。その腕。 》 「加納光於を書く」

 24日に取りあげた吉本隆明『詩の力』新潮文庫2009年初版、「吉増剛造」から。

《 吉増さんの詩には、およそ現代の詩人が日本語で詩を書く時に考えられると 思われる試みがすべて入っているといっていい。 》

《 読者の側からいえば、詩の価値が文字の上には現れておらず、詩人の内面に 隠されているわけで、その価値を受け取るのがとても難しくなっている。このことは 吉増さんの詩に固有の問題ではなく、現代詩全体が陥っている状況の問題でもある。 》

 ネットの見聞。

《 海外移住して言葉の通じない国でやっていくのもどうかなぁ、とか思ってたけど、 よく考えたら既に国内でも言葉の通じない人の方が多いんだよね。 》

《 まさか三本の矢って「原発」「武器」「移民」じゃないよねえ。 》

《 ちなみに外務省官僚の発言によれば「武器輸出解禁」「集団的自衛権行使」に 「ODA軍事利用解禁」を加えてこれも「3本の矢」だそうです。 》

《 <安倍政権になってから>
  ・医療費値上げ
  ・所得税増税
  ・住民税増税
  ・相続税増税
  ・固定資産税増税
  ・児童扶養手当減額
  ・自動車重量税増税
  ・軽自動車税 7200円→10800円
  ・原付 1000円→2000円 》

《 Dishonest Abe (不誠実な安倍) 》
 米の外交専門誌『Foreign Policy』の記事の題。
 http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/06/24/dishonest_abe_article_nine_japan_constitution

 ネットの拾いもの。

《 波乱爆笑の人生 》