谷川俊太郎『夜のミッキー・マウス』新潮社2003年初版を読んだ。上手い。 そして旨い。軽みと重みのバランスが絶妙にとれている。持ち重りする果実。 熟達の技だ。夜のミッキー・マウス。題名からして見事。冒頭一連。
《 夜のミッキー・マウスは
昼間より難解だ
むしろおずおずとトーストをかじり
地下の水路を散策する 》
ポジとネガ、皮肉と悲哀が反転反転。平易な行文の隙間から底なしの夜が のぞいている。脱帽。
「愛をおろそかにしてきた会計士」から。
《 坂を上りきって男はさびれた古本屋に入る
何か読みたいのだが何を読んでいいか分からない
風の又三郎は引っ越したまま姿を消した
ハムレットの独り言はもう耳にとどかない 》
ひらがなだけの詩「よげん」「ちじょう」「ふえ」は、漢字ではたぶん 予言、地上、笛。「ちじょう」から。
《 しねばなにもかもわすれさることができるのだろうか
いきているうちにおかしたつみのかずかずも
もしそうだとしたらひとをよろこばせまたくるしめた
あのあいのおもいではどこにきえうせてしまうのか 》
朗読されると一層胸に響くだろう。
「ひとつまみの塩」、結びの二行。
《 レシピの楽譜を演奏するのは自分しかいないのだから
理解を超えたものは味わうしかないのだから 》
そう、だから私は味わう。うーん、いい味わいだ。
「あとがき」で谷川は書いている。
《 作者にも予想がつかないしかたで詩は生れる。そこに働く力は作者自身の 力量を超えている。 》
「ああ」に寺久保エレナのアルト・サックス「MY FOOLISH HEART」が浮かんだ。
http://www.youtube.com/watch?v=x740WEWMQRQ&list=PL2CB890F6145E6864
ネットの見聞。
《 安倍政権が目指すのは、憲法解釈の変更ではなく「憲法の無視」である 》 阪田雅裕
《 日本と中国が戦争になったら、アメリカが助けてくれると思っている人は アホです。なぜなら、今やアメリカにとっての日本より中国の方が重要な パートナーだからです。日本はアメリカの家来となって、アメリカの戦争の 片棒を担がされるだけです。 》 池田清彦
《 集団的自衛権、黒幕の米国が考えていること 》
http://toyokeizai.net/articles/-/41323?page=5
ネットの拾いもの。
《 地方議会の人材の豊富さに驚きを隠せない。 》
《 旅番組とかで芸能人さんが道で会った中高年の一般人女性に「お母さん」とか 「おばあちゃん」とか呼びかけるのに違和感あったんですけど、『こころ旅』 の火野正平さんが旅先で会うほぼすべての年齢の女性に「お嬢さん」って 呼びかけるのを見た時はモテ男の真髄を見た気がした。 》
《 悲しいとき〜行列に長いこと並んでるのに自分の後ろに誰も続いてくれないとき〜 》