「 日本沈没 」 

 昨日の毎日新聞夕刊、記事。

《 「『日本沈没』読み奮起」 半村から小松への手紙  東京の SF展で初公開 》

《 世田谷文学館の「日本SF展・SFの国」で初公開されている。 》

《 便箋4枚にわたり、「一夜で読了しました」といい、ショックを 受けた感想を率直に吐露。 》

 半村良小松左京ね。これを機会に『日本沈没(上・下)』文春文庫 1978年初版を読んだ。冒頭一ページ。

《 梅雨明け前後から急に暑くなりはじめ、このところ連日、三十五度 を越す異常な暑さだった。 》

 きょうじゃん。そして。

《 「”リニアモーター超特急”かい?」
  「そうだ。──次から次へと問題が起こって、基礎工事がすすまん のだ」 》

 読むのは今でしょ。

《 「この世の中では──現実の中では、確率無限小と思われることが、 ちょいちょい起こってるのだ。こいつを説明するには、今までの確率理論 ではまだちょっと不十分で、一つの現象における確率過程の実現がひき よせる、全然質的にことなる現象の展開を、考慮に入れる必要がある」 》  上184頁

 下記のような珍事が実際あるからねえ。

《 全国高校野球の地方予選が終盤になってきた。その中でも石川県の 決勝戦は古豪星陵と、小松大谷の戦いになり、9回裏まで0−8で圧倒的に 小松大谷が優勢だったが、突如、星陵打線が目を覚まし、9点を奪って 逆転サヨナラとなった。 》
 http://takedanet.com/2014/07/post_2089.html

《 国内では、原子力発電汚職と、青少年の、LSDにかわる新しい麻薬 中毒の激増が問題になりつつあった。麻薬関係では、日本国内で発見された、 国際犯罪シジケートの大きな組織が、人人をおどろかせた。その秋のモータ ーショウでは、時速百六十キロの電気自動車と、突如覆面をぬいだ、某社の、 自家用エアカーが話題をさらった。 》 上215-216頁

 危険ドラッグじゃん。そして日本は沈没した。いやあ、面白かった。凄い 構想力だ.1973年の発表から四十年、まったく古びていない。傑作だ。

 ネットの見聞。

《 かつて『前代未聞の推理小説集』という書名で双葉文庫で出ていました (小説推理の企画)。野呂邦暢羽仁五郎/古川薫/赤塚不二夫白石一郎 どれも面白く無い。 》

 双葉文庫1993年初版だ。表紙のキャッチ・コピー。

《 歴史学者芥川賞直木賞・天才ガカボン・元文化庁長官・短篇の 名手 》