「 古書殺人事件 」

 マルコ・ペイジ『古書殺人事件』ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1985年改訂1版を読んだ。1938(昭和13)年の作。稀覯本をめぐる 殺人と古書店の裏話。稀覯本を美術品に、古書店を骨董店に 替えても成り立つ。コレクターの意地汚さは世界どこでも同じだ。 こじゃれた会話にアメリカの古いテレビドラマを観ているような 印象。

《 「きみを知るまでは、ぼくの人生は無意味だった」とジョエルは 夢見るように言った。「ただ生きてたというだけだ、だが──」 》  157頁

《 「フィスラー(イギリスに在住したアメリカの画家。一八三四〜 一九〇三)のエッチングが、二、三枚あるんだ」 》 107頁

 昨日の『モルグの女』にもホイッスラー。当時の人気が知れる。 ホイッスラー展が来月から京都国立近代美術館で開催される。 横浜美術館へ巡回。これは楽しみ。
 http://www.jm-whistler.jp/

 通り雨の後、午後少し乾いた風が吹き、自転車でブックオフ 三島徳倉店へ。石子順造『子守唄はなぜ哀しいか』柏書房2006年 初版帯付、野口久光『ミュージカルを楽しむ法』晶文社1997年初版 帯付、ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』角川文庫2006年初版、 計324円。

 昨日の毎日新聞朝刊コラム、山田孝男『風知草』は「ゴジラが 照らす道」。

《 日本が国際社会のあらゆる合意に背き、ちゃぶ台をひっくり 返して核武装へ進む選択肢はない。 》

《 かつては、原子力からの離脱は荒唐無稽な理想論と考えられて きた。3・11を経た今は違う。原子力との共存こそ非現実的という 見方が増えている。
  もはや、人類の重荷は核兵器だけではない。原発も手に負えぬ 怪獣である。核の平和利用からも離脱する時ではないか。 》

 ネットの見聞。

《 インターネット元年と呼ばれた1995年 》

 あれから二十年。情報世界は激変した。これほど手軽に情報を 入手できるようになるとは。忘れられた大事なことは何だろう。 一つは手わざ。手わざ=アナログ描写は、最近俄かに召還されてきた。