「苦海浄土」

 東京新聞の記事。

《 石牟礼道子さん 未発表原稿10枚 「苦海浄土」新章か 》
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014090302000236.html

 石牟礼道子苦海浄土講談社文庫1981年20刷を読んだ。副題「わが水俣病」。

《 水俣病イタイイタイ病も、谷中村滅亡後の七十年を深い潜在期間として 現れるのである。新潟水俣病も含めて、これら産業公害が辺境の村落を 頂点として発生したことは、わが資本主義近代産業が、体質的に下層階級軽侮と 共同体破壊を深化させてきたことをさし指す。その集約的表現である水俣病の 病状をわれわれは直視しなければならない。人びとのいのちが成仏すべくもない 値段をつけられていることを考えねばならない。 》 274頁

 とりわけぐっと胸に迫ったのは、このくだり。

《 安らかにねむって下さい、などという言葉は、しばしば生者たちの 欺瞞のために使われる。
  このとき釜鶴松の死につつあったまなざしは、まさに魂魄この世に とどまり、決して安らかになど往生しきれぬまなざしであったのである。 》  125頁

《 なあねえさん、わしどもが夫婦(みょうと)というもんは、 破れ着物は着とったが、破れたままにゃ着らず繕うて着て、 天の食わせてくれらすものを食うて、先祖さまを大切に扱うて、 神々さまを拝んで、人のことは恨まずに、人のすることを喜べちゅうて、 暮らしてきやしたばい。 》 189頁

 渡辺京二の解説から。

《そうではなくて、彼女は釜鶴松に文字どおり乗り移られたのである。 彼女は釜鶴松になったのである。なぜそういうことが起こりうるのか。 そこに彼女の属している世界と彼女自身の資質がある。 》

《 実をいえば『苦海浄土』は聞き書きなぞではないし、ルポルタージュ すらない。ジャンルのことをいっているのではない。作品成立の本質的な 内因をいっているのであって、それでは何かといえば、石牟礼道子私小説である。 》

《 患者の言い表していない思いを言葉として書く資格を持っているというのは、 実におそるべき自信である。石牟礼道子巫女説などはこういうところから 出て来るのかもしれない。 》

 安逸な日常が根底から揺さぶられる。それはまた、新たな地平を見出す興奮に つながる。

 午後、来月の三島バルで催される街中歩きの前調査を四人の女性と行う。 私が案内役で、路地裏を歩いてオモシロ物件を紹介するというもの。 つまらないものですが、オモシロイです。考え抜いた行程一時間半、 若い女性三人には大いに受けた。やれやれ。ふう。
 http://mishima-bar.net/

 ネットの見聞。

《 今日、9月4日は田中正造の命日。いま、足尾の先に水俣、福島、沖縄を見る。 福島、沖縄で民意を無視した強権政治を続ける安倍政権。この暴政を真正面から射抜く 正造の至言がある。
  真の文明は
  山を荒らさず
  川を荒らさず
  村を破らず
  人を殺さざるべし
  田中正造の対極に安倍晋三がいる。 》 m TAKANO

《  安倍さんも、今度国連総会で演説する機会があったら、従軍慰安婦制度の 素晴らしさを訴え、これを可能とするように国際人権規約の改正を訴えると いいんじゃないでしょうかね。国連から脱退すれば、まさに「日本を、取り戻す」 ことになるわけで、先の選挙で自民党に投票した人も喜ぶでしょうに。 》  小倉秀夫 (Lee mi prof)

《 安倍首相は改造内閣を「実行実現内閣」と命名‥‥って、じゃあまずは 「汚染水を止める」という約束を実行してくれよ。 》 

《 今日は東京の中学校で能と狂言の授業。着いた早々「今年は予算が 削減されて去年と同額出せない」とのこと。それはいいのですが、その理由が なんとオリンピックのためとか。オリンピックのために教育予算が削られるって あっていいんでしょうか。ちなみに修理・修繕もオリンピックが終わるまで削減とか。 》  安田登

《 「女性活躍相」に有村治子氏 内定。ポストそのものがアレなのは措くとしても、 「夫婦別姓反対」「中絶反対」で、「親学推進議員連盟」「靖国参拝を支持する 若手国会議員の会」「神道政治連盟」メンバーが「女性活躍相」とは驚愕人事だわ(笑) 》

《 貿易赤字最大、実質賃金下降中。
  特許、無条件で会社のもの。
  グローバル・キャピタリズムの走狗となった安倍政権。
  日本沈没も時間の問題か                 》 池田清彦

《 逆に言うと、それだけ言論や表現の自由の抑圧が日常茶飯事で、 感覚が麻痺しているのではないか。今回の朝日にせよ、「デモを規制せよ」 と言った先日の高市発言にせよ、9条の会を締め出した国分寺まつりにせよ、 「表現や言論の自由を抑圧することは一大事だ」という認識や緊張感が感じられない。 》  想田和弘

《 だからこそ私たちはこういう事件が起きるたびに騒がなくてはならない。 言論や表現の自由を抑圧すると大変なことになるぞ、というメッセージを その都度発しなくてはならない。そういう意味では、今回の件でSNSを中心に 批判が起こり、朝日新聞が方針転換をしたことには意義があると思う。 》  想田和弘

《 朝日新聞朝日新聞批判を載せるより,読売新聞にナベツネ批判を載せる方が 難しそう。ま,外からの印象ではということです。 》

 ネットの拾いもの。

《 「錦織が全米OPベスト4進出、日本勢96年ぶりの快挙」
   つまり日本はテニスに関しては三流国ってことなんだよね。 》

《 「くノ一残業デー」という言葉が目に入り、女忍者が何の残業を?と思って 興味津々で読み返したら、「せっかくノ一残業デーなのに」だった…… 》