「方子と末起」

 昨日のヘミングウェイ誰がために鐘は鳴る』、第十四章。

《 あたしも、その席にいたし、そのほか、あたしよりも器量の悪いパストラだの、 それからニーニャ・デ・ロス・ペイネスだの、ジプシーだの、まるで淫売といっても いいような女たちが、たくさんいたっけ。 》

《 パストラが歌を所望され、エル・ニーニョ・リカルドがギターをひいたっけが、 これにゃとても感動したもんだよ。 》

《 あたしゃ、とても愉快な気持ちになってたし、リカルドの演奏に拍手したり、 ニーニャ・デ・ロス・ペイネスの歌に拍手する組を手伝いをしたりして 忙しかったもんだから、 》

 LPレコード『フラメンコ不滅の歌声シリーズ I ラ・ニーニャ・デ・ロス・ ペイネス』ディスク・フジムラ1989年の濱田滋郎の解説から。

《 ニーニャ・デ・ロス・ペイネス(長いのでパストーラと呼ぼう)は、1890年、 セビリーヤ近郊のフルベスという処で生まれたという。 》

 小説のパストラって。それはさておき。この盤では多くをニーニョ・リカルドが 伴奏している。渋いシビレル。

《 また、内乱(1936〜1939)を含むカンテの受難時代を通じて燃えつづけた パストーラの歌の火種があってこそ、1950年代を迎えて”本格的カンテの リヴァイヴァル”が起ったのだといえる。 》

 下記ツイートを知って小栗虫太郎「方子(まさこ)と末起」を『絶景万国博覧会桃源社1970年初版で読んだ。

《 それからもう一つ収録作の中からおすすめしたいのが「方子と末起」ですね。 女学生と、彼女と愛しあう療養中のお姉さまの書簡形式で書かれる密室殺人事件です。 不思議の国のアリスを引用したり、少女の窮地、エス関係、家庭のゴタゴタと豊富な ガジェット、これで作者が小栗虫太郎という驚きの短編。 》 天川奈美

 『サンリオSF文庫総解説』本の雑誌社が出た。

《 手に入らない本のガイドブックなんか作ってどうするの、という声もあるようだが 、レム『完全な真空』の架空の本とは違って、この197冊は現実に存在する。強く願えば、 いつか出会うことができるはず。 》 藤原編集室

《 まだ見ぬ本に想像を膨らませ、探し求める旅も、読書の愉しみのひとつではないか。 そのとき、この『総解説』は頼もしい旅の友になってくれるだろう。 》 藤原編集室

 高値の本は売ってしまったので、手元には三十冊足らず。ピーター・ディキンスン 『キングとジョーカー』は扶桑社ミステリーで2006年に復刊。ブックオフで入手。105円。

《 本書は、一九八一年に出版されたサンリオSF文庫を改稿・再編集したものです。 》

 同じ作者の『生ける屍』ちくま文庫2013年初版は、新刊で購入。

《 本書は一九八一年十一月にサンリオSF文庫より刊行されました。 》

 この表紙にはアルノルト・ベックリンの傑作『死の島』が使われているけど、 数点描かれた中の最初の1880年の絵のようだ。ネットと手元の画集『現代の絵画7  19世紀の夢と幻想』平凡社1973年初版を見較べてこの画集のライプティヒの美術館の 『死の島』第五作目1986年が一番好きだなあ……でもなんか違う……画集は左右が 逆になっている……。四十年……気がつかなかった。

 昨日ブックオフ沼津リコー通り店で三浦しをん三四郎はそれから門を出た』 を手にして、書評集というか本の紹介集だと知った。棚へ返したけれど、書評集には 未知の本と出合える期待感がある。

 ネットの見聞。

《 他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる。 》

 ネットの拾いもの。

《 新商品へのヒント「飲むタバスコ」。 》