「怪建築十二段返し」

 某ブログで白井喬二『怪建築十二段返し』が話題に挙がっていたので、 『怪建築十二段返し』大陸文庫1990年初版で読んだ。
 http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20141008/1412694172

《 これはおそらく初めてのゴシック的時代小説であり、その斬新さに読者は驚いたにちがいない。  》

 大陸文庫の解説で縄田一男は書いている。

《 白井喬二の歩んだ道は、日本の大衆文学の歴史そのままであり、彼こそは、 大衆文学の勃興期から理論と実践の合致を試みて、大いなる苦闘を続けてきた 先覚者であるといえよう。その立場たるや、探偵小説の江戸川乱歩に匹敵するといえば 分かりがいいかもしれない。 》

 鏑木清方を連想。清方は1972年に亡くなり、挿絵の近代が幕を降ろした、とは私見白井喬二は1980年に亡くなっている。1980年といえば純文学の終焉が取りざたされる年。

 午後、沼津市のギャラリーほさかでの北斎道子・本田照男二人展へ友だちと行く。 北斎さんの小品の静物画二点が新鮮。大きな白面と花と花瓶の線描そして渋い色面が オシャレ。出品するのを迷ったと北斎さんは言うが、これがなかったら……。
 本田さんの絵では、1日に《 ピカイチの気持ちのよい絵だ。 》と感想を記した 絵に、やはり最も惹かれた。黒板にキャンバスをピンで留めてあるが、掛け軸のような もっと大きな黒板なら、さらに引き立っただろう。

 田中伊佐資『オーディオ風土記 (最高のサウンドと音楽を求めて全国を訪ね歩く)』 DU BOOKS が面白そう。

《 日本で(世界で?)いまだかつて存在しなかった「オーディオ・マニア訪問ドキュメント」。  》

《 今日も朗々と鳴るガルネリ・オマージュは、
  仕事に集中すると最後には聴こえなくなる 》

《 産業規模の”笑える”音響システムと再会。
  今度はそうそう笑ってばかりもいられなかった 》

《 ウェストミンスター・ロイヤルに捧げた新築の家。
  オーディオ・ルームが主、住環境は従 》

《 「父なる音、我が師」がアルテックならば、
  JBLは「我が親愛なる友」 》

《 セオリー度外視のスピーカー3段重ね。調整続けて20年、その執念ここに実る 》

《 いかに機嫌をとりどう気持ちよく吼えさせるか。”パラゴンの整体師”ここに在り 》

 この文面から、好き者ならば内容が推察できよう。