銅版画家・林由紀子さんのツイート。
《 大手拓次改造本2種。岩波文庫(小さい方)は詩の選び方が一番良いけど 「十六歳の少年の顔」は入れてほしかった。思潮社の現代詩文庫は「蛇の花嫁」 からいっぱい採ってるけどあれ、あまりいいと思わない。初期作品の方が断然いいじゃん。 》
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大手拓次、盲点だった。未読。『現代日本文學大系93 現代詩集』筑摩書房 1980年10刷を開く。「十六歳の少年の顔」を読む。私は「洋装した十六の娘」 になびく。それはともかく。いやあ、面白いわ。
入澤康夫『わが出雲・わが鎮魂』も収録。他の詩人は三段組で抄録だけれど、 これだけ二段組で全編収録。
《 編集部注 本詩集は思潮社版『わが出雲・わが鎮魂』をテキストとし、若干の 誤植等を訂正した。 》
手元の普及復刻版(1969年)と対照したくなったが、あまりに面倒なので止めた。 が、ちょっと対照したら、鏡文字(左右逆)で上下逆(!)に印刷された連の左下の 「つ」が「っ」になっていた。詩集にあった梶山俊夫の挿画が『現代日本文學大系』にはない。 が、岩田宏「絵本 おいらん物語」は、真鍋博の挿画が影印されている。
ネットの見聞。
《 いざ探すとなるとなかなか大変な前登志夫の歌集『縄文紀』は自筆歌・署名入を出品。 》 智林堂書店
出品先のアマゾンを見ると5000円。この歌集は新刊で購入。1977年刊。詩人の吉岡實の装丁が じつにいい。1976年に出た『前登志夫歌集 非在』短歌新聞社・現代歌人叢書34には紙片が 数箇所挟んである。読んだ当時はポスト・イットは未発売か知らなかった。その一首。
《 おお!かなかな 非在の歌よ、草むらに沈める斧も昨夜(きぞ)の反響 》
これは加藤郁乎の俳句との関連だろう。
《 雨季来りなむ斧一振りの再会 》
つづく歌に惹きこまれた。
《 花折(はなをり)のわれは旅人 頂のかなたはつねに奈落なりにし 》
寺山修司の言葉を連想。
《 言葉を友人に持ちたいと思うことがある。
それは、旅路の途中でじぶんがたった一人だということに気づいたときである。 》
旅路。なかなか目にしなくなった言葉だ。青江三奈歌う『雨に咲く花』をCDで聴く。 20世紀FOX映画『愛と哀しみの旅路』のカバー・バージョン。