「 日本文学全集 」

 荒川洋治『本を読む前に』新書館1999年初版、日本文学全集を自分が編んだら、という 空想企画が興味深い。1996年7月の発表。

《 そのほ他、昨今の文壇、読書界における評価を考えに入れつつ、現在という時点に立った 文学全集のイメージをぼくなりに描き出してみた。/ 全八十三巻。明治・大正・ 戦前まではまず常識通りだが、そのあとは徐々に崩れていく。 》

 詩を書く人らしく、詩、短歌、俳句も巻立てがされている。

 12 上田敏堀口大學金素雲小泉八雲
 上記四人は訳詩かな。
 69 山口誓子・西東三鬼・石田波郷飯田龍太
 70 田村隆一吉岡実鮎川信夫石原吉郎
 82 飯島耕一谷川俊太郎富岡多恵子鈴木志郎康
 71 岡井隆塚本邦雄斎藤史・葛原妙子
 俳句、詩、短歌と、これらの巻にはどんな作品が収録されるか。以下、荒川洋治らしい巻を。 未読の作家のみならず江口渙、金史良、宮内寒彌といった未知の作家もいる。

 25 葛西善蔵・嘉村磯太・島田清次郎小山清
 26 広津和郎・加能作太郎・水上瀧太郎
 33 瀧井孝作上林暁田畑修一郎
 37 江口渙・川崎長太郎牧野信一・金史良
 45 尾崎士郎田宮虎彦井上靖深田久弥
 56 福永武彦堀辰雄・丸岡明・斯波四郎
 59 深沢七郎耕治人田中小実昌
 65 八木義徳島村利正・宮内寒彌・結城信一
 79 谷川雁村上一郎松本健一・菅谷規矩雄
 83 小島政二郎中島健蔵伊達得夫中井英夫

《 残念ながらぼくはいわゆる大衆文学について興味を持たない人間である。(中略) ミステリーもエンターテインメントもSFも、その点ぼくはたいそうなカタブツなのである。  》 15頁

 と、別のエッセイに書いているように、この全集にはミステリー、SFなどは入っていない。 松本清張五木寛之中薗英助は入っている。収録作は何だろう。
 これに丸谷才一鹿島茂三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文春文庫(2005年)と 以下の二つの編集を見較べるとじつにおもしろい。

 岡崎武志山本善行による特別企画『気まぐれ日本文學全集』(2008年)
 http://www.kousakusha.co.jp/DTL/shinbungaku_zen.html#top

 池澤夏樹個人編集の日本文学全集(2014年)
 http://www.kawade.co.jp/news/2014/05/-201411.html

 ネットの見聞。

《 クリスマスイブにキャンディーズをアナログレコードで聴く喜び。いいな〜  》  古書あやかしや

 LPレコード『キャンディ・レーベル』1977年のB面をかける。「恋のバカンス」、 いいなあ。ジャケットにぞくぞく。それにしても、熱帯雨林ではお高い値段だが、 リサイクル店で300円で完品を買った。保存してある、解散コンサートの 新聞記事切抜きを見る。熱いわ。

《 わたしはただの主婦なので、力もなければ、お金もありません。 貧乏でしたから学校も出ませんでした。住友金属鉱山(株)の子会社は、 そんなわたしを訴えて来ました。なにもかも持っていそうな大きい会社が「金を払え」と わたしに書いています。ひとに散々ゴミを被らせ、人にかける迷惑を考えもせずに。 》  黒木睦子
 https://twitter.com/mutsukuroki

《 日経一面トップ「首相『強い経済取り戻す』」って、未だ取り戻してないのかよ。 》  藤岡真

《 ところで、あちこちでこういったフタの写真を撮影するようになってから10年近くに なるわけだが、ヘンなやつだと思われることも多く、“あんたなにやっとーねん”などと 誰何されること数知れず、そのたびごとに、“マンホールのフタの画像をコレクトしてまんねん” といっていたわけだが、年のせいでいちいちそう答えるのもメンドーになってきたので、 これからは略して“まんこしてまんねん”と答えることにしたい。また、“お”のふたの画像を 取り込んでいる時には、““お”のマンホールのフタの画像をコレクトしてまんねん”、 というのもさらにメンドーなので、“おまんこしてまんねん”ということにする。 》  癸卯雑識
 http://moon.ap.teacup.com/watertower/