「 寺山修司詩集 」

 寺山修司寺山修司詩集』ハルキ文庫2010年4刷を読んだ。詩、短歌、俳句の精選作品集。 瑞々しい果実を絞った新鮮な果汁。陳腐だけれどそのとおりの印象をあらためて抱いた。 甘美にして甘酸っぱく、諦観の苦味も少し……。舌を巻く巧さ。つい口ずさむ。

《 「海が好きだったら」

   水になにを書きのこすことが
   できるだろうか
   たぶんなにを書いても
   すぐ消えてしまうことだろう

   だが
   私は水に書く詩人である
   私は水に愛を書く

   たとえ
   水に書いた詩が消えてしまっても
   海に来るたびに
   愛を思い出せるように   》

 昨日、デザイナー内野まゆみさんが、二十年前に箱をデザインした箱根登山鉄道の「とざん電車もなか」 を見せてくれる。見逃しそうな細部もしっかり作り込まれている。二十年も使われているわけだ。 最中六個入り。

《 お値段も手頃で、とにかくパッケージがかわいいので、今度から甘い物好きの友人へのお土産は これにしようと決めました。 》
 http://www.monaka-do.com/article/131198058.html

 電車と汽車。微妙に、けれども大いに違う。「もしも住む家がなかったら」より。

《  おとうとよ
   人生は
   汽車に似ているね
    さすらいながら
    年老いてゆく  》

《  おとうとよ
   人生は
   汽車に似ているね
    ひとの心に
    ときどき停まる  》

 ブックオフ長泉店で二冊。越谷オサム『ボーナス・トラック』創元推理文庫2010年初版帯付、 皆川博子『結ぶ』同2013年初版、計216円。後者の日下三蔵の解説から。

《 九八年に刊行された『ゆめこ縮緬集英社と本書『結ぶ』の二冊は、皆川幻想小説の中でも 頂点に位置する作品集といっていい。 》

 二冊とも単行本で持っている。さて、いつ読むか。

 ネットの見聞。

《 「本は、読者から読者への情熱的な推薦を通じて生きるのだ、人間のうちにあるこの基本的衝動を 抑えられるものなどなにもない。皮肉屋や厭世家が何と言おうと、人間はいつまでも最深の経験を 分かち合うために励んでいくだろうとぼくは信じている。/書物は、ひとが深く大事にしている 数少ないもののひとつだ。そして、善人であればあるだけ、簡単に自分のもっとも大切にしていた 持ちものを手放すだろう。本棚にただ置いてあるだけの本は、無駄な弾薬だ。金銭と同じく、 本は絶え間のない流通状態になければいけない。最大限に貸し借りすること――本も金銭も!  だが、本の場合はとくにそうだ。本は金銭よりも無限に有意義なのだから。本は友であるだけでなく、 友を作ってくれる。心と精神で本を所有すれば、豊かになれる。だが、本を手渡し続けるなら、 三倍も豊かにしてくれる」(第一章「彼らは生きていてぼくに語りかけた」野平宗弘訳、32頁)。 》  『ヘンリー・ミラー・コレクション 13 わが生涯の書物』水声社
 http://www.suiseisha.net/blog/?p=4092

 昼前、年下の女性二人に文庫本を贈呈。三上延ビブリア古書堂の事件手帖5』メディアワークス文庫小沼丹『黒いハンカチ』創元推理文庫

 ネットの拾いもの。

《 そうかぁ、ランちゃんも還暦なのかぁ。それでも、やっぱり、ランちゃんはランちゃんなのだよ。 》