雨。家こもり。思い立って『寺山修司詩集』ハルキ文庫収録「花粉航海抄」 のいくつかの俳句〇とほかの人の俳句、短歌を勝手に並列。平行、並行、交錯、 交響、反響、すれ違い、無縁。はてさて。
〇十五歳抱かれて花粉吹き散らす
少年や六十年後の春の如し 永田耕衣
〇胸痛きまで鉄棒に凭(よれ)り鰯雲
のけ者にされつつ空に見とれゐし
鉄棒に逆さの少女期のわれ 角宮悦子
〇影墜ちて雲雀(ひばり)はあがる詩人の死
蝶墜ちて大音響の結氷期 富沢赤黄男
〇母を消す火事の中なる鏡台に
ほほゑみに肖(に)てはるかなれ
霜月の火事の中なるピアノ一台 塚本邦雄
〇亡き父にとゞく葉書や西行忌
わが心あつかひかねて手の書(ふみ)の
西行の歌に赤き線引く 土屋雅彦
〇老木に斧を打ちこむ言魂なり
爐辺の恋斧がこだまとして懸る 加藤郁乎
〇猟銃音のこだまを胸に書物閉ず
八方に射程を測る鉄砲百合青き銃身一つがわれを 平尾基子
〇家負うて家に墜ち来ぬ蝸牛(かたつむり)
かたつむり日々〈複雑〉を去りつつあり 折笠美秋
〇雁渡るあやとりの梯子(はしご)は消え
雁ゆきてまた夕空をしたたらす 藤田湘子
〇わが死後を書けばかならず春怒涛
乳母車夏の怒涛はよこむきに 橋本多佳子
〇犬の屍を犬がはこびてクリスマス
炎天の犬捕り低く唄ひ出す 西東三鬼
〇酢をなめる神父毛深し蟹料理
晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて
葛原妙子
〇肉体は死してびっしり書庫に夏
夜の書庫にユトリロ返す雪明り 安住敦
〇法医学・桜・暗黒・父・自涜(じとく)
雪青菜月光魚影秘花無明 高屋窓秋
〇少年のたてがみそよぐ銀河の橇
瞋(いか)りこそこの世に遺す花として
たてがみに夜の霜ふれるかな 塚本邦雄
北海道立近代美術館の学芸員の方からメール。4月4日、神奈川県立近代美術館を皮切りに、 新潟、岐阜、札幌、都城、福岡と巡回する「日韓近代美術家のまなざし−「朝鮮」で描く−」 展で、安藤信哉の絵を四国の美術館から拝借する、と。1940年の絵だろう。
昨日、ブックオフ長泉店の雑誌棚に『文学界』二月号。ピース・又吉の小説が話題の号。 鮮度がいいうちに。
ネットの見聞。
《 「独立時計師」 》
http://portal.nifty.com/kiji/150106165998_2.htm
《 やはりオリジナル本で読むという行為は、その本が出版された時代と直結出来るようで、 古本の大いなる魅力のひとつに、数えられるのではないだろうか。 》 古本屋ツアー・イン・ジャパン
《 「あんなものがアートなんて」と言う人は、自分が生まれてきた場所でもあり、 人間の女性なら誰でも持ってる「まんこ」を無意識に見下していることや、 なぜ日本ではそんな風にずっと思い込まされてきたかについてわたしが 疑問を投げている事は、たぶん死んでも気づかない 》 ろくでなし子
《 「新しい安全基準」と「新しい審査体制」ができたから原発を再開するという。 それが本当なら、東北大震災の前には「震度6の地震に耐えうる設計はできたのにしなかった」 ということになる。安全基準と適正な審査をすれば原発の安全を保つことができたなら、 なぜ震度6の地震に耐えうる原発を作らなかったのか? 》 武田邦彦
http://takedanet.com/archives/1017624147.html
ネットの拾いもの。