「 山伏地蔵坊の放浪 」

 有栖川有栖『 山伏地蔵坊の放浪』東京創元社1996年初版を読んだ。七短篇からなる。 院号を地蔵坊と称する山伏が遭遇した奇妙な殺人事件の顛末を、スナック「えいぷりる」で 常連客に語る=騙る。一見誰が殺したか不明の事件を、地蔵坊が快刀乱麻を断つように 解明する。

 放置していた新聞を整理する。毎日新聞18日「今週の本棚」、『シリーズ 東アジア海域に 漕ぎだす』全六巻東京大学出版会三浦雅士の評に目が留まった。

《 時宜を得たというのはしかし、シリーズを貫く考え方が、二〇〇五年に死去した 経済史家フランクの提唱する世界史観の転換に期せずして呼応していると思えるからである。 フランクは、ウォーラーステイン、アミン、アリギと並んで、資本主義はそのシステム上、 必然的に第三世界を生み出さずにおかないという理論を展開したことで知られるが、晩年に いたって大きく方向を転換した。立論にあたってつねに参照してきたマルクス主義こそ、 じつはもっとも西洋中心主義的で間違っていたという見方に立つようになったのである。 西洋の産業革命など、長く経済先進地域であったアジア、とりわけ中国という巨人の肩の 上にのった小人の芸にすぎなかった。『リオリエント』で展開している議論だが、確かに マルクスの「アジア的生産様式」概念など西洋中心主義そのものである。 》

《 フランクの見方の当否はおいて、それに全面的に賛意を呈したのが、ベストセラー 『世界史』の著者マクニール。 》

《 フランクもマクニールも、これまで西洋流の世界史はあまりにアジアを小さく 見積もってきたと考えているということだ。そして世界史から地球史へと視野を拡大するに あたっては宋代研究が鍵になるというのである。 》
 「東アジア海域に漕ぎだす」 http://www.utp.or.jp/series/kaiiki.html

 朝、知人が来訪、一時間余り現代アートについての話を聞いた。彼の挙げる美術家たちを 知っているのは私くらいか。その彼は漫画家の中村光をご存じない。伊豆市の出身だけど。 日本の近代現代美術史はあと十年もすれば、二十世紀の常識、定説はひっくり返っている、 というのは私の希望的予測。美術界でも地殻変動の胎動を感じる。

 ブックオフ長泉店で三冊。岡本太郎『日本の伝統』光文社知恵の森文庫2006年2刷帯付、 深水黎一郎『トスカの接吻講談社文庫2012年初版帯付、三好徹『風塵地帯』双葉文庫1995年 初版、計324円。

 ネットの見聞。

《 三島梅花藻の里「泉トラスト運動」活動報告資料(最新) 》
 http://www.gwmishima.jp/modules/information/index.php?lid=1254&cid=11

《 両陛下、元ハンセン病患者と懇談 皇居・御所で 》
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015012801000759.html

《 <社説>辺野古作業強行 民意踏みにじる蛮行だ 》 琉球新報
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238040-storytopic-11.html

《 集団的自衛権よりも日本国憲法九条を、もっともっと世界に向けてアピールしたほうが 日本の平和を維持できるんじゃないのかなあ…。 》 ハッピー

 ネットの拾いもの。

《 安倍晋三的に普通:abenormal 》