『 亜愛一郎の狼狽』『亜愛一郎の転倒』

 昨日引用したミステリ作家鳥飼否宇の「泡坂妻夫のベスト3」を再読。「ホロボの神」 「G線上の鼬」は『 亜愛一郎の狼狽』幻影城1978年初版で、「意外な遺骸」は『亜愛一郎の転倒』 角川書店1982年初版で再読。一篇を読むとその次の短篇もついつい読んでしまう。いやあ、どれも お見事!な出来だ。「ホロボの神」に続く「黒い霧」には昔と同様大笑い。「意外な遺骸」は、 北森鴻「花の下にて春死なむ」につながる。読後感は、昭和と平成ほどに違う。
 私のベスト短篇は何かなあ。一読深く印象づけられた短篇は、雑誌『幻影城』1978年増刊号で 読んだ「糀山訪雪図(かざんほうせつず)」だ。其角(きかく)の俳句、「闇の夜は吉原ばかり月夜哉」 が記憶に鮮やかに刻まれている。『煙の殺意』講談社1980年に収録。これまた内容はすっかり忘れている。
 『 亜愛一郎の狼狽』巻末、栗本薫は「プロフィール・泡坂妻夫」に書いている。

《 泡坂さんにくらべたら、アガサ・クリスティーのトリックだってお人好しなくらいだ。 》

《 だから、もしかすると、亜愛一郎こそ、ほんとうは史上最強の名探偵かもしれない。 》

《 なぜなら、泡坂妻夫は、そうしてぼくたちをだまし、アッといわせ、やさしい悪意につつみ こんでしまうことで、「ただの推理小説」にすぎなかったミステリーに、「ものの見方を根底から 揺り動かす」ような存在たりうる可能性を持ちこんだかもしれないからだ。 》

 それにしても鳥飼否宇(とりかい・ひう)、単行本も文庫本も持っているけど、今のところ 読む予定はない。はあ。

 午前中に煩雑な用事を片付けて、午後疲れて短い昼寝をしていれば、固定電話から携帯電話から 呼び出し。固定電話は宣伝。携帯電話はお話の依頼。断われんわ。

 味戸ケイコさんから嬉しいメール。今年はいい年だ。

 ネットの見聞。

《 『大江健三郎自選短篇』(岩波文庫)はほぼ積ん読でときどきパラパラめくってるだけなのだが、 大江健三郎を初めて読んだころ大江健三郎っぽいなぁと思っていた「躰」という漢字が目についた 範囲では「体」に変更されていてすこし寂しくなってしまった。 》 本屋のカガヤ

《 『大江健三郎自選短篇』(岩波文庫)では、やはり大江っぽさとして捉えていた「いて、」 から助詞「て」を省略して「い、」とする表現も「修訂」されてる。《光があふれてい、》 (「死者の奢り」新潮文庫版11)→《光があふれて、》(岩波34)、《待ってい、》 (14)→《待っており、》(37)。 》 本屋のカガヤ

 芦辺拓島田荘司高村薫横山秀夫は、単行本から文庫本に変わるとき文に手を入れる。 単行本で既読の者にはなんだかなあ、の気分。といって文庫本での再読は、私の場合まずない。 本だと読み較べることができるけど、絵画となるとそうはいかない。手直しの代償は大きい。 後で手を加えられたほとんどの絵がつまらなくなる。

《 カヌー転覆させ拘束、沖合に連行…反発強まる辺野古沖 》 沖縄タイムス
 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=101426&f=t

《 ISに事実上の宣戦布告をし、現実に宣戦布告された日本の首都で開催され、対テロ戦争の 有志連合参加国が一斉に集まり、テロリストたちにとって最大の標的となる五輪も 見直していただきたい。 》 椹木 野衣

《 安倍が、日本人に指一本触れさせないと言ったそう。海外にいる日本人すべてに、 国費で護衛を付けるのかね。安倍は、個人的願望と政策目標の区別ができない。覚悟と決意で 国民を守るというのは、先の大戦における愚かな軍人と同じ発想。 》 山口二郎

 ネットの拾いもの。

《 節分で追い出された鬼達は一体何処に向かうのか。

  クローズアップ現代、今夜は行き場を失った鬼達、その過酷な生活に迫ります。 》