文芸評論家51名による「私の選ぶ戦後文学ベスト3」アンケートはじつに興味深い。
http://web.archive.org/web/19961108212224/http://www.kodansha.co.jp/gunzo_best3_kdnsha.html
菅野昭正は、大岡昇平『レイテ戦記』、丸谷才一『裏声で歌へ君が代』、大江健三郎『万延元年のフットボール』を、 立石伯は、石川淳『狂風記』、埴谷雄高『死霊』、武田泰淳『富士』を、川村湊は、梅崎春生『幻化』、 中井英夫『虚無への供物』、中上健次『千年の愉楽』を、山城むつみは、椎名麟三『重き流れのなかに』、 野間宏『暗い絵』、森有正『経験と思想』……嬉しい選出をあげていくときりがない。森有正『経験と思想』 岩波書店1977年初版が意外だった。森の著作を何作か読んでいるが、これが最高だと思っている。
こういうベスト企画で興味を惹かれるのは、評価に天と地ほどの差のある作品。ここでは野間宏『暗い絵』、 椎名麟三、埴谷雄高『死霊』そして大岡昇平『武蔵野夫人』。丸谷才一・三浦雅士・鹿島茂 『文学全集を立ちあげる』文春文庫2010年初版では。
《 丸谷 「暗い絵」は、たしかにつまらないね。 》 268頁
《 丸谷 野間さんはいろいろ問題はあるけれども、必要だと思う。しかし、椎名さんは必要ないでしょうね。 》 276頁
《 丸谷 僕は、「死霊」を入れるのは反対だけれども、「闇の中の黒い馬」や「影絵の世界」、それから 政治論などで二分の一巻組むというんなら賛成です。 》 280頁
《 丸谷 「武蔵野夫人」は、もうひとつですね。 》 281頁
その丸谷才一『裏声で歌へ君が代』は、某文芸評論家はひどく低い評価だったと記憶。その本は処分したので 確認できないが。
本棚には、安部公房『箱男』、中上健次『千年の愉楽』『枯木灘』、中野重治『甲乙丙丁』、 丸谷才一『後鳥羽院』『裏声で歌へ君が代』、三島由紀夫『豊饒の海』、宮本常一『忘れられた日本人』、 村上春樹『風の歌を聴け』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、森敦『われ逝くもののごとく』、 吉本隆明『書物の解体学』など未読の単行本、小島信夫『抱擁家族』、後藤明生『挟み撃ち』、佐多稲子 『時に佇つ』、吉田満『戦艦大和ノ最期』といった未読の文庫本。楽しみ。
既読本では、井上靖『本覺坊遺文』、井伏鱒二『黒い雨』、大江健三郎『万延元年のフットボール』、 高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』、藤枝静男『空気頭』など単行本、桶谷秀昭『昭和精神史』、 柄谷行人『日本近代文学の起源』など文庫本が本棚に。
石川淳『狂風記』、埴谷雄高『死霊』、武田泰淳『富士』、中井英夫『虚無への供物』、古井由吉『杳子 妻隠』 などは単行本で再読したくなる。では、私なら何を選ぶ? 無理無理。それにしても、エンターテイメントからは 中井英夫『虚無への供物』だけ……。単独峰の小説だ。
選出された村上春樹の作品は、『風の歌を聴け』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 『中国行きのスロウ・ボート』の三作。話題を呼んだ『ねじまき鳥クロニクル』『1Q84』ではなく。
ブックオフ長泉店で一箱処分、660円也。石原千秋『『こころ』で読みなおす漱石文学』朝日文庫2013年 初版帯付、保阪正康ほか『戦争と天皇と三島由紀夫』朝日文庫2008年初版、計216円。
ネットの見聞。
《 個人的には洗練さに「荒さ・粗さ」に近いエネルギーのようなものが加わっているとなお良かった。 》 水仁舎
上記は料理についての感想だが、文学、美術にも言える。私はそんな作品を求める。絵画では安藤信哉の 特に晩年(1970年〜)の絵。
http://web.thn.jp/kbi/ando.htm
《 ごみ対策を再稼働条件に 日本学術会議、国に提言へ 》 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015021401001872.html
《 安倍首相は「後方支援は武力行使ではない」と言って海外派遣恒久法をつくろうとしていますが、 後方支援は英語ではlogistic supportで「兵站」のこと。「兵站」は武力行使と一体のもので、 当然敵もそこを叩こうとする。だからこそ、これまでは「憲法上できない」としてきたのです。 》 布施祐仁
《 現在の政権になってから、特に異様だと思う社会の変化は、差別や偏見を「悪い」ことだと思わず、 本音を言って何が悪い、と堂々と居直って発言する人間の姿が激増したこと。人権や人道をないがしろにする暴言を 平然と吐く。彼らに共通するのは、自分が「虐げられる側」になる状況を全く想定しないこと。 》 山崎雅弘
ネットの拾いもの。
《 仮面ライダーと仮面ドライバーと仮面パイロットの三つどもえか。次は史上初、 何にも乗らないライダー、仮面ウォーカーだな。 》