『 永遠の愛 』

 昼前、時の鐘橋〜源兵衛橋〜下源兵衛橋両岸のヒメツルソバなどの外来雑草を抜く。 一時間あまりで土のう袋一杯になったので、きょうの作業は終わり。残りは脚立が要る高所。

 『教皇ヒュアキントス ヴァーノン・リー幻想小説集』国書刊行会、第一篇「永遠の愛  シュピリディオン・トレプカの日記から」を読んだ。十九世紀末、イタリア北部 ウルバニアへ赴いた若い学徒は、三百年ほど前に亡くなった魔性の美女に注目する。

《 実はここに来る前から、グアルテリオやパードレ・デ・サンクティスのウルバニアに 関する歴史書の無味乾燥なページに現れる謎めいた女性に心惹かれていた。その女性とは、 カルピ領主ガレアッツォ四世マラテスタの娘で、スティミリャーノ公爵ピエルルイジ・ オルシーニの最初の妻であり、その後、ウルバニア公爵ロベルト二世の先代、グイダルフォンソ・ 二世の妻となったメデアである。 》

《 その魔法の力は、彼女の通る道を横切る男たちをことごとく虜にする。メデアに合う男は 皆メデアを愛し、彼女の奴隷になる。そして、彼女の奴隷は皆、破滅する運命にある。 》

《 メデア・ダ・カルピへの愛は衰えることはなく、愛する者は死ぬことしかできない。 これが、永遠の、残酷な愛なのだ。 》

《 しかし、狂気が人の幸福を意味するのであれば、そんなことが何だというのか。 》

 1887年の発表。典型的なファム・ファタール(運命の女)ものだ。こういうの、好き。 泉鏡花高野聖』1900年と同趣向。あらためて表紙の女性像を見つめる。ワカル。
 http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336058669/

 ネットの見聞。

《 「教皇ヒュアキントス ヴァーノン・リー幻想小説集」、読み始めた。いきなり最初の 短篇の最初のページで、論文がどうの、研究助成金がこうのというくだりがあるのは、 やはり中野善夫氏なりの考えあっての配置だろうか。 》 北原尚彦『S・ホームズの蒐集』発売中

《 いや、まさか! 》 中野善夫
 https://twitter.com/tolle_et_lege

《 「教皇ヒュアキントス」すでに80冊売れたので、100冊の大台に乗せたいという夢が 生まれました。でもここからの20冊は、かなりハードルが高いかもしれない…。 もともと有名な作家や、雑貨みたいな感覚の本ならいざ知らず、4968円の幻想小説を 下町の古本屋がどこまで売れるか挑戦したいです! 》 喜多義治|古書ドリス
《 あと17冊で100冊突破です!現時点でamazonより多いです 》
 https://twitter.com/info_doris

《 地方都市在住のためヒュアキン難民に。丸善&ジュンク堂ネットストアに注文はしたのだけど、 なぜかずっとサイトが閲覧できなくなっていて、そのせいで出荷が遅れているとか… まさか昨日サイトにつながらなかったのは、みんなが『教皇ヒュアキントス』を検索した せいじゃないとは思うけど…。 》 いやしの本棚

《 多分そうだと云われています。 》 中野善夫

《 『教皇ヒュアキントス』は装丁だけでなく、中に使われている紙もすばらしい。 触れたときの指に吸い付くような感触が心地よくて、紙の本を読むという喜びを満喫できる。 》  青の零号

《 春の訪れを予感させる3月上旬は、実は怖い月でもある。1954年3月1日=第五福竜丸・被曝事件、 1945年3月10日=東京大空襲、2011年3月11日=東日本大震災、そして今日、ひな祭りの3月3日は、 1933年に昭和三陸津波のあった日。日本人にとって哀悼と慰霊の季節でもあるのだ。 》 椹木野衣

 ネットの拾いもの。

《 モスクワに冷戦期の政府要人用核シェルターが残っていて博物館になっている。 「司令官になって好きなところを核攻撃しよう」というコーナーがあるのだが、 博物館員の話によると、どこの国の観光客もたいてい自国を核攻撃するという。  》