「解放、開放」

 隣町の函南町にある仏の里美術館で展示中の子どもたちの仏の絵の素晴らしさ。 子どもたちは、太い筆ではちきれんばかりの力を発揮して思いっきり伸び伸びと 描いている。この無心の喜びの表情はどうだ。心身の全開〜開放。これは画家には できない。ピカソ岡本太郎も脱帽だろう。これにはかなわない。同時に展示されている 粘土細工の人物たちも、また愉快。愉快であること。これはとても重要だと思う。愉快は、 固まった心を解放、開放する。
 子どもたちの仏の絵の対極に日本画の横山操の代表作『塔』1957年を置いてみる。 『塔』からは、何が桎梏かわからぬが、桎梏からの解放への、息詰まるような意思の力を 感じる。子どもたちの仏像の絵は、桎梏のない世界(開放された世界)で描かれている。 観る者は、観た瞬間すでに解放されている。そこには何の思惑もない。ただ、愉快な気分に 満たされている我が心身を発見するのみ。
 子どもたちの限りない可能性を引き出した沼津市の「風の子造形教室」の主宰者池谷(いけのや) 博子さんに拍手拍手。重文の仏像と子どもたちの仏画の奇跡的な交響だ。31日休館、4月5日まで。
 かんなみ仏の里美術館 hhttp://www.kannami-museum.jp/news.html
 横山操『塔』 http://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=2574

 21世紀の美術の在り方が問われている気もする。

 本屋で新刊、椹木野衣アウトサイダー・アート入門』幻冬舎新書2015年初版を買う。

 ネットの拾いもの。

《 ふところ以外は暖かいですね。 》