『 パリの憂鬱 』

 ボードレール散文詩集『パリの憂鬱』齋藤磯雄訳、三笠書房1967年初版を読んだ。

 冬のパリを思わせる、冷たい雨と厚い曇。三島の憂鬱。

《 『私は今日、夢想のなかで三つの住居(すまひ)を持ち、それぞれに等しい快楽を味はつた。 私の魂がこれほど軽快に旅をする以上、どうして私の肉体をむりやり移転させる必要があらうか。 それにまた、計画といふものがそれ自体ですでに充分な歓びである以上、いろんな計画を実行した ところで何の役に立たうか。』 》 「二四 計画」結び

 国立西洋美術館・グエルチーノ展、東京都現代美術館山口小夜子展、行きたいが無理。

 「十九 貧者の玩具」の結末を読んで、好みだなあと思った。

《 そして二人の少年は、平等に白い歯をのぞかせて、兄弟のやうに互に笑ひ合ってゐました。 》

 その余韻が冷めやらぬうちに「二六 貧者の眼」の結び。

《 これほど、いとしい天使よ、理解し合うといふことはむづかしいのです。そしてこれほど、 愛し合っている仲でさへ、胸のうちは通じないのです。 》

 きょうの空模様みたい。晴れ間がのぞいて期待を持たせ、意地悪く再び小雨。春の憂鬱。本では 皮肉な出来事(「二七 壮烈なる死」「二八 贋金」「三十 紐」など)が綴られる。

 雨の合間を縫ってブックオフ長泉店へ自転車で行く。グレイス・ペイリー『人生のちょっとした 煩い。』文藝春秋2005年初版帯付、池内紀『出ふるさと記』中公文庫2011年初版帯付、内田洋子 『ジーノの家』文春文庫2013年初版帯付、講談社文芸文庫・編『戦後短篇小説再発見7 故郷と 異郷の幻影』講談社文芸文庫2001年初版、計432円。買える本があってうれしい。

 ネットの見聞。

《 「やっぱり…「報ステ」に自民党が“圧力文書” その後に異例人事」 》 日刊ゲンダイ
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158871

 ネットの拾いもの。

《 安倍晋三のモノマネ芸人がいたらどんな目に合わされるのだろうか。
  ま、TVに露出すること自体がないか。 》