「線描、描線の魅力」短歌篇

 一昨日昨日にふれた内野まゆみさんの名刺が大好評。通常よりちょっと細めの紙に手描きで 草や模様が筆一筋で描かれている。何枚かを相手に見せて好きなものを選んでもらう。 某デザイナーは、迷ってしまう、と二枚もらっていた。そういうテがあったかあ。すっと 引かれた美しい描線。ホント、迷うわ。いろいろなデザインを手がけているので、説明が面倒。 なので名刺デザイナーとまずは自己紹介。彼女のデザインした名刺はどれも素敵。細部に美あり。

 線で思い浮かぶ短歌。

   六月のある日のあさの嵐なりレモンをしぼれば露あをく垂る   前川佐美雄

   うすものの二尺のたもとすべりおちて螢ながるる夜風の青き   与謝野晶子

   くろ髪の千すじの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる   々

   幾千の青杉の秀の揺れうごく斜面(なだり)に向ひ時過ぎゆかむ  前登志夫

   木の雪の雫はなべて垂直に光りつつ降る或る重さ持ちて   高安国世

   数条のレール光れる暁の薄明のなか紙ひとつとぶ   岡部桂一郎

   たちゆらぐ金の芒に思ふかな宗達の線光琳の線   安立スハル

   ひえびえと穀雨は降りぬ地方出身都市生活者われらの上に   高野公彦

   たれか来てしだきてゆきし草はらの苦しき起伏雨よやさしめ   黒木三千代

   夜の夢に顕ちてしづけく流るるは冬涸れ川のあをきひとすぢ   成瀬 有

   冬に入る空ひびわれて薄ら日に漆黒の貨車すべもなく来ぬ   佐藤通雅

   もろびとに青春一過さらさらにうねれる水の上の稲妻   伊藤一彦

   ゆっくりと菊人形の義経の顔を伝わる一筋の雨   小高 賢

   風狂の一すじの線引きつぎて果てに希へる何物もなし   照屋眞理子

 ブックオフ長泉店で乾くるみを二冊。『塔の断章』講談社文庫2003年初版、『匣の中』同 2006年初版、計216円。

 ネットの見聞。

《 企業や行政のいう「安全だ」という言葉は一体、何を意味して言っているのでしょうか。 安全だ、大丈夫だとしますが 何が『安全』で『大丈夫』なのか。行政側に訊けば、 会社が安全だといってるから安全だ。企業に訊けば、検査機関が基準値内で出してるから。 でも、“責任が取れない物。”だそうです。 》 黒木睦子
 https://twitter.com/mutsukuroki

 ネットの拾いもの。

《 私は記念の品とか記念日とかにほとんど関心がないので、そういう意味で ものが捨てられなくて困ることがない。ものの少ない状態を維持できる。本以外は。 》

《 次は何処だ?富士山の爆発は生きているうちに経験してみたい。 》