『 内臓とこころ 』つづき

 三木成夫『内臓とこころ』河出文庫2013年初版で、ほほうと特に感心したくだり。幼児の行動。

《 ですから、内蔵感覚といった場合、私どもは、この感覚がもっとも高度に分化した場所として、 この唇と舌を考えればいいわけです。 》 32頁

《 この”なめる”ということは、学問的に見ても大切な意味があります。この時に鍛えぬいた 舌の感覚と運動が、あとになって、どのような形で生かされてくるか……。いまの心理学のことは わかりませんが、たとえば、コップを見て”丸い”と感じるでしょう。これは類人猿には見られない、 まさにホモ・サピエンスの特徴です。この”丸い”と感じる、その奥には、いま話している、 この”なめ廻し”のものすごい記憶が、それは根強く横たわっているのです。(中略)もちろん、 そこには、手のひらの「撫で廻し」の記憶も、渾然一体となっているはずです。 》 40頁

 眼と手、唇と舌を総動員して茶碗を鑑賞する、茶を味わう。これは最高度の原初的芸術鑑賞かも。 北一明の茶碗で喫茶したことは記憶に無い。鑑賞するのみ。一度使って後は使わずにいると、肌が 荒れる、と北氏から言われた。国指定の有名な茶碗が使われずに肌荒れを起こした、と。だから、 名碗は、月に一ほど使われているし、国の指定を受けない、と。

《 よく「なめ廻すように見る」というでしょう(笑声)。これこそ、さきほどの生命記憶の、 これはかなり露骨な再燃です。 》 43頁

 一昨日触れた陳舜臣『中国画人伝』新潮社1984年初版帯付をネット注文、昼前に届く。1000円。 定価2300円では当時見送っていたな。明治維新以後の美術界の動向を考えるに、江戸時代までの 中国美術、文芸の影響を知ることが必要。中国の影響下から西洋の衝撃へ。

 ネットの見聞。

《 『美』は未来資源である。自分もずっとそう思っている。 》 原研哉
 https://twitter.com/haraken_tokyo

《 (昨日の裁判ではわたしの元バイト先に内偵に来て隠しカメラを回していた女性警官が 証人の一人として出てきた。「(作品を)見てすぐ女性器だとわかった」というので弁護士が 「どの作品を見てそう思いましたか?」と質問したら、「ガンダムのような物」。 笑わせようとしてるとしか。 》 ろくでなし子
 https://twitter.com/6d745

《 国力とは何かと言われると「金と武力」しか思いつかない人たちが国の舵取りをしている わけですから、日本がどんどん弱小国になるのは当たり前ですね。 》 内田樹
 https://twitter.com/levinassien

 ネットの拾いもの。

《 NHK=日本法螺吹協会。 》