『 生命とリズム 』

 三木成夫『生命とリズム』河出文庫2013年初版を読んだ。

《 われわれがなにごころなく自然に向かった時、そこでわれわれの五感に入ってくるものは 諸形象すなわちもろもろの”すがたかたち”であろう。(中略)これに対し、われわれが ある思惑をもって自然に対した時、そこでは無生の”しかけしくみ”しか問題になってこない。 》  25頁

《 ”すがたかたち”とした感得された「形象」はことごとく生きているのに対し、”しかけしくみ” として把握された「物体」はすべて生きていない、と言えばよい。 》 25頁

《 自然を眺める人間の眼には二種が区別される。そのひとつは”かたち”に向かうものであり、 他のひとつは”しくみ”に向かうものである。(中略)前者を”こころの眼”と呼び、後者を ”あたまの眼”と呼ぶ。 》 26頁

《 人びとはその映像をさまざまな方法で表わしそこに豊かな造形の世界を繰り展げてゆくのであるが、 しかしやがてかれらの関心はそのかたちの持つ法則性いわゆる”しかけしくみ”の方へ向けられ、 そこで自然科学の目覚ましい世界を開拓してゆく。それは上述の精神の発達に歩調を合わせて 進行する過程であるが、実はその一方において、この精神がいつの間にか人間のなかに強大な自我を 確立させ、これが無常の流れに逆らっておのれを不動のものに固定する。 》 33頁

《 良寛の書を見ますと手の運動と呼吸の運動とが連動していることがよくわかる。 ある一つの作業を体得した時にコツがわかったことを呼吸がわかったといいます。 優れた作品というのはこの連動作業が見事に行われているものと思います。 》 118頁

 セザンヌの晩年の絵、安藤信哉の晩年の絵、また北一明の書に、上記の見事な連動作業を感じる。

《 さて私たち人間のからだには無数のリズムがあります。そのリズムというものには二つの性質が あります。その一つは周囲の環境の変化によって変わるという性質です。もう一つは周囲の環境と 関係なく、宇宙リズム、早くいえば太陽系の持っている大きなリズムに関わっているものです。 》  130頁

《 どんなリズムにも、以上のように身近なものによって影響される側面と、もう一つの身近なものとは 無関係に宇宙の遠い彼方と共振する側面のこの二つがあります。 》 130-131頁

 買い被りかもしれないが、北一明の茶碗の釉薬の景色(絶景)に宇宙のリズム=波動を感じる。

《 まず結論から申しますと、この呼吸のリズムは潮のリズムと密接な関係がある。もちろんそれは 満潮・干潮ではなくて、もっと時間の短いあの”波打ち”のリズムなのです。 》 134頁

 松岡正剛は書いている。

《 三木成夫のエッセンスが理解されるには、日本の科学の批評状況はまだ狭く、また、まだ幼い。 》
 http://1000ya.isis.ne.jp/0217.html

 昼前誘われ、ブックオフ沼津南店へ知人の車で行く。芦辺拓『彼女らは雪の迷宮に』祥伝社 2008年初版帯付、伊集院静『美の旅人 スペイン編 I 』小学館文庫2009年初版、エーリッヒ・ ケストナー飛ぶ教室講談社文庫2004年3刷、近代ナリコ・編『FOR LADIES BY LADIES 女性の エッセイ・アンソロジーちくま文庫2007年2刷、計214円。半額だから買った本ばかり。 とはいっても伊集院静の本は、たまたま開いたページのゴヤ『砂に埋れる犬』1820-23年に 釘付けになったから。表紙にも使われている。この一枚で購入。

《 フランシスコ・ゴヤ(1746-1828)の70歳を越えてからの作品である。 》 8頁

 ネットの見聞。

《 「お前が信じるお前を信じろ」簡単そうだが、これが結構難しい。 ちなみに私も自分が買いたいモノしか作らない。 つまりアマチュアリズムだ。ただし突き詰めていくとプロになれる。 》 坂井直樹
 http://sakainaoki.blogspot.jp/2015/06/blog-post_18.html

《 身内擁護に御用学者…法務省の審議会に参加した映画監督・周防正行がトンデモ実態暴露! 》 LITERA
 http://lite-ra.com/2015/06/post-1194.html

《 福島で本当は一体何が起きているのか? 》 マスコミに載らない海外記事
 http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-ebf6.html

《 小林教授:日本会議に沢山の知り合いがたくさんいるので私が答えますが、 日本会議の人々に共通する思いは、第二次大戦で敗けたことを受け入れ難い、だから、 その前の日本に戻したいと。 》 真実を探すブログ
 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6852.html

  ネットの拾いもの。

《 万が一トリクルダウンになったところで、下は無人地帯。 》