『 天變の書 』

 塚本邦雄歌集『天變の書』書肆季節社1979年初版を読んだ。いろいろな短歌、 俳句が連想される。例えば。

   夢前川(ゆめさきがは)の岸に半夏(はんげ)の花ひらく
     生きたくばまづ言葉を捨てよ
     ×
   夢前川知らずもとほる夢の岸うつつにつかぬ音聴けとこそ
                        照屋眞理子

   使途一切不明なれども一壜の酢をあがなへり妖精少女
     ×
   晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて
                      葛原妙子

   神の目もすみれいろとや郵便車より戀文の束ころげ落つ
     ×
   雪の香のはつか移れり空海の信書に似せし父の恋文
                      合志 強

   父は睡り母は死につつ家の戸に粗鹽(あらしほ)こぼれ
     をり千早村
     ×
   生卵を扉(と)に打ちつけて雫垂るとびらの奥に人入りにけり
                          白浦十郎太

   戀の果て知らじ文月の不破の鬨離(か)るる紫紺の
     蝙蝠傘(かふもり)一つ
     ×
   傘二つ点景となるまでを見て紫陽花不意に燃えはじめたり
                         太田二郎

   八方に敵、わがかひなつゆくさのごときを抱へほろびゆくなり
     ×
   八方に射程を測る鐵砲百合青き銃身一つがわれを
                     平尾基子

   いくさとは忍ぶる戀の爆發と思へ柘榴を眞二つに割く
     ×
   友の名を呼びあやまりて真二つに切らるる林檎ほどの含羞
                         江畑 實

   菫よりやや濃き影ぞ額(ぬか)にさすかりがねとほき
     空をわたれば
     ×
   牡丹剪(き)る雲のゆき来の疾きあした人の耶蘇名の
     はるけかりける           矢島昭彦

   心の底までたけなはの春 釘箱の釘二百本眞紅に腐り
     ×
   残月の明石の沖を過ぎぬればいのち架かりし錆釘一つ
                       轍 郁摩

   大叔母は翡翠(かわせみ)のそのこゑ嗄れてこよひマラルメ
     唱ひたまふ
     ×
   翡翠の羽色ごろも着てあれば撃たるる予感 前後左右(さう)より
                            城 恵梨香

   たづさへて天涯にあり複眼のなべて見つくし
     たる蜻蛉(せいれい)と
     ×
   エミール・ガレの白き群蝶舞ふごとき天涯は見ゆ罪のごとしも
                           岡澤澄江

   朝夕のわがみぎひだりをくぐりゆく幼女百合鴎のにほひして
     ×
   ちちのみの父の胸倉逸(はや)り男(を)の匂ひかくまふ
     春惜月(はるをしみづき)        藤田洋

   青空の青のかぎりを裂いて飛べ木曽の冠者のきみの繪凧は
     ×
   凧(いかのぼり)なにもて死なむあがるべし   中村苑子

   はつなつの伊吹に残る一握の雪はるかなるにくしみひとつ
     ×
   木枕の垢や伊吹に残る雪   丈草

   六月の蒼き雁來紅(かまつか)十四本歌はむにはや歌ぞ亡びし
     ×
   鶏頭の十四五本もありぬべし   正岡子規

   しろがねの露ふる良夜うつせみの肩より漆黒の婚衣落つ
     ×
   くろがねの秋の風鈴鳴りにけり    飯田蛇笏

   星は茴香(うゐきやう)のかをり対岸のたはれめとわれ
     ゆふやみわかつ
     ×
   落丁一騎対岸の草の葉   加藤郁乎

 ネットの見聞。

《 ろくでなし子裁判はこのように「バカじゃねえのか?」と言いたくなるマヌケな内容に なっており、これこそ日本の性器を巡る、またわいせつに関する法律の重大な欠陥を示している。  》
 http://n-knuckles.com/case/society/news002004.html

 ネットの拾いもの。

《 橋下は「自民党が絶対飲めない案を作れ」と命じたそう。与党が絶対飲めない対案を提出して集中審議。 予定どおり議論は平行線。でも審議をしたから採決へ。維新は反対票を投じるが与党多数で衆議院通過。 新聞から「強行採決」の見出しは消え、維新は「責任野党としてよく抵抗した」と自画自賛。 》