『 戦争画とニッポン 』

 昨日の「Moliendo Cafe」はプエルトリコの往年の名歌手イスマエル・リベーラ ISMAEL RIVERA をよく聴いているのだけれど、昨日は見つからなかった。あった。
 https://www.youtube.com/watch?v=TkGrqQ_NpMY

 会田誠椹木野衣戦争画とニッポン』講談社2015年初版を読んだ。二人の会話で 論が進む。

《 会田 いわゆる「現代美術」は長らく、戦争画を含む日本の「近代美術」を ほぼ丸無視してきました。 》 7頁

《 椹木 これからは、戦争画の持つ意味について、今ある準戦時下から別の見方を 作り出していかなければならない。この本の役割はその端緒を開くことでもあると 感じています。 》 28頁

《 椹木 近代化以前は幕府のお抱え画家が裸婦を描く習慣などなかったわけです。 それは浮世絵描きの仕事で、まともな絵とはみなされていなかった。ところが、文明開化で 西洋の美意識まで入ってくると、裸婦がきちんと描けるということが、近代画家としての 条件に裏返ってしまった。 》 47頁

《 椹木 だいたい国粋主義なのに日本画を優遇しないことからして変ですよ。 油絵なんてのは本来、鬼畜米英の技術のはずでしょうに。 》 57頁

《 椹木 もう少し大きな枠でいうと、そもそも大本営自体が、「近代の超克」という 考えで戦争をしていたから、戦争画を描くにあたっても、洋行経験が重視されたんだと 思います。 》 62頁

《 会田 けれど、僕が敗戦と戦後の空虚感と言って真っ先に思い出すのが、公園や 神社などに今も残っていることの多い忠君碑などのモニュメントです。あの、今や 誰にも顧みられず、ただ物質的・重量的にだけ存在感をアピールし続けるモニュメントの 虚しさ。 》 48頁

 三嶋大社にもデカイ戦争記念碑(日露戦争だったか)が鎮座している。誰も関心を示さない。 近隣の神社の石碑からも、負の暗いオーラを感じる。

《 椹木 しかし「試合」の最中には、どれだけ優勢でも、最終的に誰が勝者となり、 誰が敗者となるのかは、わからない。観衆はもちろん、解説者はおろか、審判にさえわからない。 私たちがいる現在とは、少なくとも、そのような未明の場所なのだ。 》 139-140頁

 上記は戦争画に関する一文だが、状況が変われば、誰が称賛され、誰が非難されるか、 わからない。それはそれとして、果たして私はどこまで理解できたのだろうか。なんか 見落としている気がしてならないなあ、と省みながら巻末、二人それぞれの「作品解説」 を読む。と、そこには気づかなかった斬新な眼差しが。

《 会田 何か決定的に「薄っぺらい」。それは小磯(良平)個人の問題というより、東京藝大 ──あるいはニッポンの洋画の限界として感じられちゃう性質のものです。 》 129頁

 『芸術新潮』1995年8月号は、戦後50年記念大特集 カンヴァスが証す画家たちの「戦争」。 画像が充実している。特に藤田嗣治の『アッツ島玉砕』『サイパン島同胞臣節を全うす』には 目を見張る。補完し合う二冊だ。

 炎天下、無駄に外出したくない。で、「童貞を殺す服」の記事を愉しむ。オヤジ(ジイ)を 殺す服でもあるなあ。眼福。ちょっと原宿行ってくる、って気になるわ。いや、日比谷か。
 http://americanboss.hatenablog.jp/entry/2015/07/09/021131

 ネットの見聞。

《 80年代、いわゆるトレンディドラマは「ものづくり」その他社会を支える業種を 徹底的に侮蔑してきた。「君が嘘をついた」なんて主演の三上博史が「白玉だんご」 という和菓子会社に勤めているのが恥ずかしくて身分を偽るという酷い設定。因果はめぐり、 鳶職不足のためオリンピック施設建設に危機、とか 》 芦辺 拓
 https://twitter.com/ashibetaku

《 青島幸男がえらかったことがちょっとわかった。都市博やめただけの人だと思ってたけど、 たかが新国立競技場がどんだけやめられないか。 》

 ネットの拾いもの。

《 平成新語「すがすがしい(菅菅しい)」=うっとおしい、気が滅入る、 話を聞くといらいらする(笑) 》

《 日本の無駄ベスト3
  オスプレイ18機購入 3600億
  NHK新社屋 3400億
  オリンピックスタジアム 最終的に約3000億
  あら、簡単に1兆  》

《 おもてなし  金だけかける  ろくでなし 》