『 戦時期日本の精神史 』

 昨日の『 彩色ある夢の破片 』、在庫ありに。

 昼間は暑くてほんの近所までしか出る気がしない。昨日は日が暮れてブックオフ長泉店へ。 『生田耕作コレクション1 眼球譚、マダム・エドワルダ』白水社1990年3刷、北村薫宮部みゆき=編 『読まずにいられぬ名短篇』ちくま文庫2014年初版、計216円。

 昨日の深澤幸雄氏の銅版画で欲しいと思った作品は殆ど手に入れた。銅版画の坂東壮一氏の作品も、 欲しい作品は手に入れた。版画は油彩画などの一点ものと違って複数あるので値段は高くない、 いや安い。もっと安いのは本だが。深澤氏の銅版画で最も高かったもので十五万円。代表作の一つ、 『凍れる歩廊(ベーリング海峡』だ。昨日の石野重道『彩色ある夢』は、ネット検索では十八万円。 版画がいかに安いか。海外は知らないが、日本では油彩画などの一点ものが不当に高い気がする。 一点もの、という言葉の魔法に引っかかっている気がする。が、そんな魔法も効かなくなってきた。

 鶴見俊輔『戦時期日本の精神史──1931〜1945年──』岩波書店1982年7月30日3刷、前半を再読。 こんなにすごい本だったか。以前何を読みとったのか。あえるいは忘れちゃったか。

《 ヨーロッパの言葉を借りるということは、考え方そのものがヨーロッパ化するということを 必ずしも意味しません。短い期間に、こんなにもたくさんの言葉をヨーロッパ語から借りることによって、 現代の日本人がある意味で自分たち自身にとって理解しにくいものに変ってきたというふうにもいえます。 たしかに、私たちは、私たち自身の考え方を自覚するという道筋を失ってきたという側面を持っています。  》 2-3頁

《 そして報道されたことだけでは十分ではない。報道されなかったことで重要なことがたくさん あるということを覚えておきたいものです。 》 7-8頁

《 そのような方法で一度、指導者に選ばれたものは、彼の心の底においてどのようにその政治上の 意見が変ろうとも、指導者であり続けるという信念をもっています。 》 20頁

《 私が転向研究に価値があると考えるのは、まちがいのなかに含まれている真実のほうが、 真実のなかの真実よりわれわれにとって大切だと考えるからなのです。 》 24頁

《 論理の一貫性をもって他人を説得しようとするものは、輸入文化の脈絡に基づいて話を進めます。 相手の心の底にあるものに、気分に訴えようとするものは、土着文化の脈絡において話を進めることを 通して説得の目標を達しようとします。 》 30頁

《 輸入された用語は人々を心の底から動かす力をもっていません。 》 41頁

《 広告というのは、今の日本で人々の楽しめるさまざまの芸術形式の中で最も強力なもので、 》 79頁

《 柳宗悦の主宰した民芸運動は、仏教美学に基づく工人の尊重という考えを押し進め、 戦争の集団熱狂から自分たちを守り抜きました。 》 96頁

《 同じ行動にしても状況の中でちがう意味をもつものです。このことを彼は師である明石順三と 同じように完全な常識人として、理解していました。そのように同時代の状況をしっかりととらえて 判断し行動するということは、海外の思想を輸入しそれを大前提としてそこから論理だけによって 同時代の状況についての判断を導き出すという考え方の流儀とは、ちがうものです。 》 98-99頁

 ネットの見聞。

《 「ジャーナリズムとは報じられたくない事を報じることだ。それ以外のものは広報にすぎない。」 ジョージ・オーウェル 》

 ネットの拾いもの。

《 gmailってすげえな「添付します」って書いといて添付し忘れると「本文に添付しますとありますが ファイルが添付されていません、送信しますか?」とか言ってくる。そのうち「好きです」とか書くと 過去のやりとりを勝手に解析して「脈はなさそうですが本当に送信しますか?」とか言ってくるぞ。 》

《 50年経てばゴミとなるしかないコンクリート打ちっぱなしのネズミ色の建物。 》